今回は、第6回、第7回に引き続き少し脇道にそれて、議案についての一般的な調べ方について説明する。第6回、第7回は時期がわかっている場合にどんなふうに調べていくかを説明したが、第8回は時期がわからない場合、どうやって調べていくかについて説明する。
<時期を絞るための手がかりをつかむ>
法案などの議案の名前(件名)は、必ずしもその内容をしっかり反映しているものではない。現在ある「A法」という法律を改正する形をとるならば、内容には関係なく、「A法の一部を改正する法律案」という名前になることが結構ある。「B法の一部を改正する法律案」のなかで、C法が改正されることもある。だから、慣れないと、法案の件名を探すのはなかなか難しい。
ある法案について知りたいが、いつ頃なのかがわからないとする。そのときには、とにかく、時期を絞るための手がかりをつかむことにしよう。
まず、その法案について、自分が知っているキーワードを書き出してみよう。キーワードの選び方によって、すぐに見つかったり、なかなか見つからなかったりということがあるので、キーワード選びは大切だ。
そして、そのキーワードのうち、最も時期特定につながりそうだというものを中心に、グーグルやヤフーなどの検索サイトで検索してみよう。
検索結果のうち、時期を特定できるものや時期を絞り込むことができるものがあったならば、チェックしておき、その情報も含めて再度検索してみよう。
<具体例>
たとえば、サービサーについて定めた法案がいつつくられたか、どんな議論がなされたか知りたいが、時期などはわからないとしよう。サービサーということば、仕事自体が特殊なので、グーグルで「サービサー」というキーワードを使って検索してみると、法務省のサービサー制度についての説明が出てくる。これを見ると、第143回国会において、民間サービサー制度の創設を内容とする「債権管理回収業に関する特別措置法」が議員立法により可決成立し、平成10年10月16日に公布され、平成11年2月1日に施行されたことがわかる。また、その後、第151回国会において、債権回収会社の取扱債権の範囲の拡大および業務に関する規制の一部緩和を内容とする同法の改正法が可決成立し、平成13年6月20日に公布され、同年9月1日に施行されたこともわかる。こうして時期がわかると、この連載の第6回で調べたように、第143回国会や第151回の議案の一覧のなかから法案の経過や提出時の法案や修正案を見ることができる(参議院は、第152回国会より前の議案はHPには掲載していないので要注意)。
<衆議院HPや参議院HPのサイト内検索などでさらなる情報を得る>
衆議院HPや参議院HPの「サイト内検索」をご存じだろうか。それぞれのHPで「サイト内検索」をしてみると、多少手間ひまはかかるが、どんな議論が委員会などで行なわれてきたのか、関連してどのような内容の質問主意書が出されているかなど、検索サイトで調べただけではわからないことを知ることができる。
ちなみに前述のサービサー法の場合は、創設時の第143回国会がかなり前のことなので、衆議院のHPで調べても会議録までは出てこないが(別途国会図書館の会議録検索をすることは可能)、改正案審査時(第151回国会)の会議録は出てくる。また、その後の議論なども調べることができる。
なお、検索サイトで検索してみても時期につながる情報が得られないとき、衆議院HPや参議院HPで「サイト内検索」してみると、いつ頃の国会で法案審査が行なわれたかがわかり、それをもとに調べていくことができることも少なくない。だから、時間がないときには、検索サイトでの検索は省略し、すぐに衆議院HPや参議院HPで検索しても良い。
このほか、国立国会図書館がつくっている国会会議録検索システムを利用するなど、いろいろ調べ方はある。第5回までに使用していた「各国会回次の開会期間と関連資料がわかる表」などを使って、次回以降また少しずつ説明していきたい。
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