歌舞伎俳優・四代目市川猿之助丈が、きょう13日、6月の公演PRおよび襲名の挨拶のため、福岡市・高島宗一郎市長に表敬訪問を行なった。福岡市役所1階のロビーを利用して一般公開で行なわれるという、表敬訪問では初の試みとあって、会場には、歌舞伎ファンを含めた多くの一般客が集まった。
「博多座」で、6月2日~26日の間上演する「六月博多座大歌舞伎」は、二代目市川猿翁、四代目市川猿之助、九代目市川中車の襲名披露公演。昨年6月、東京・新橋演舞場で始まって、ほぼ1年後に福岡で公演されることになる。
今回の表敬訪問には歌舞伎ファンも駆けつけており、猿之助丈が登壇した瞬間、歌舞伎の公演時さながらに「澤瀉屋(おもだかや)!」などと勇ましい掛け声が。続いて高島市長が、表敬訪問を一般公開で行なう意図を、「表敬訪問は、応接室のような非公開の場所ではなく、多くの方に見てもらえる開かれた場所で行なうべき」と説明すると、観衆から拍手が起こった。
その後、猿之助丈が六月歌舞伎の魅力を語り、公演をPR。また、「博多座は、俳優たちにとって、とても居心地が良い劇場」と、博多で興行する喜びについても語った。さらに、「以前、博多座で公演を行なったときより新しい店舗が増え、街に活気が出てきたように思う」など、街を歩くのが好き、という猿之助丈ならではの感想も。ときには、福岡市内の地名を具体的に上げるなどして、高島市長を驚かせる一幕もあった。
また、壇上のバックを飾る鮮やかで斬新なデザインの特別ポスターも話題に。写真を担当したのは、猿之助丈と親交の深いアーティストで九州(長崎県)出身の俳優、福山雅治氏。地上に広がるのは日本の都市を思わせる架空の街だが、今回博多座での襲名披露に合わせて、福岡のランドマークの数々が取り入れられている。猿之助丈がその一つひとつを指し示しながら説明をし、最後に直接ポスターにサインを入れ、高島市長に贈った。
表敬訪問は、始終、和やかな雰囲気に包まれ終了した。観衆のなかには、表敬訪問が一般公開されたことを、「これからは歌舞伎も、このように開かれていくのだろう」と、今後の歌舞伎のあり方そのものに重ねて見る人もいたようだった。
※澤瀉屋の「瀉」は、「ワ」冠が正式表記
■【六月博多座大歌舞伎】について
『六月博多座大歌舞伎』は二代目市川猿翁、四代目市川猿之助、九代目市川中車の襲名披露。襲名披露興行がスタートしたのは、昨年6月の東京・新橋演舞場。三代目猿之助が二代目猿翁、二代目亀治郎が四代目猿之助、そして俳優の香川照之が九代目中車を襲名することで大きな話題を集めた。新橋演舞場では、1日でスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」と古典を上演するという意欲的な内容で、「先駆的」「エネルギッシュ」と言われる澤瀉屋(おもだかや)の新しい幕開けを印象付けた。その後、大阪・名古屋で熱い舞台を繰り広げている。
博多座での襲名披露狂言では、昼の部は、スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』を上演。スーパー歌舞伎の第1作目にして金字塔の歴史的な作品で、猿之助がヤマトタケル、中車が帝を演じる。
夜の部は、澤瀉屋ゆかりの『小栗栖の長兵衛』で中車が長兵衛を、「絶景かな」の名セリフで知られる古典の名作『楼門五三桐』では猿翁が久吉、中車が五右衛門を、宙乗りなどケレン味あふれる『義経千本桜 川連法眼館の場』では、三代目猿之助の当たり役で、四代目猿之助自身も100回以上上演を重ねる忠信実が源九郎狐を演じる。
晴れの舞台にふさわしく、坂田藤十郎、片岡秀太郎、市川段四郎という錚々たる豪華俳優陣が揃い襲名を寿ぐ。
なお、5月29日(水)には、俳優のご当地到着をお披露目する「船乗り込み」が予定されている。
■公演詳細
<演 目>
―昼の部―
一、スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』
―夜の部―
一、小栗栖の長兵衛(おぐるすのちょうべえ)
二、口上
三、楼門五三桐(さんもんござんのきり)
四、義経千本桜 川連法眼館の場(よしつねせんぼんざくら かわつらほうげんやかたのば)
<出 演>
市川猿翁、市川猿之助、市川中車
坂田藤十郎、片岡秀太郎、市川段四郎、市川右近、市川笑也
坂東彌十郎、市川門之助、坂東竹三郎 ほか
<公演期間>
6月2日(日)~26日(水)
<発売日>
発売中
<料 金>
A席/19,000円 特B席/16,000円 B席/12,000円 C席/5,000円(税込)
※昼の部は特B席・B席・C席完売、夜の部はC席完売
<お問い合せ先>
博多座電話予約センター 092-263-5555(午前10時~午後6時)
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