4月19日号の週刊ポストの記事が、日本と中国の両国のメディアで物議を醸している。問題となっている記事は「自衛隊の妻に外国人が800人、そのうち中国人は600人」という内容だ。
そもそも自衛隊は全部で22万人超いるにも関わらず、そのうちの600人が中国人だからといって、微々たる数字のように思えるのだが、さらにそのうちの数十人は国家機密を扱う要職に就いているという。日中間が冷え込んでいる時期に、自衛隊という職業が国際結婚を認めていること自体が問題だ、という話題をわざわざ持ち出すことについては、一定程度の悪意を感じるが、この記事にさっそく中国メディアがさまざまな反応をしている。
大手インターネットメディア「新華網」の記事によると、中国人妻をスパイ呼ばわりする日本人の考え方に懸念を抱いている。国際結婚といえども円満な夫婦に、政治の話を持ち込むのは気の毒だという論調だ。また、同じインターネットメディアの「人民網」によると、自衛隊は出会いがないし、金にうるさい日本人女性より、金に執着のない中国人女性の奥ゆかしさが、妻としてふさわしいと思われているのではと、独自の分析を掲載している。
日中のメディアが出すそれぞれの論調に対し、中国版ツイッター・微博では「一人っ子政策による剰男のひがみ」「中国人男性より金持ちで安定している日本人男性」などと、男女比のアンバランスから生じている嫁不足を揶揄する自虐コメントも多数書き込まれている。
日中間の政府のごたごたによって、まっとうな自衛隊の国際結婚夫婦に疑惑の目を向けられるのは許されない。すべての自衛官のうちの、たった600人の中国人妻の存在よりも、「年間800人もの中国人公務員の研修を受け入れる」と表明したどこかの自治体の首長の方がよほど懸念材料のような気がしてならない。
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