第6回から第8回にかけては、脇道にそれて、議案の調べ方について説明した。次は、第5回に引き続いて、第3回で紹介した便利な表を使って、参議院審議概要のなかの「3 本会議の審議概要」について説明するが、その前に本会議について簡単に説明しておこう。
<本会議>
衆議院および参議院には、それぞれ本会議があり、それぞれの院に属するすべての議員が構成員となって、それぞれの院の意思を決定する。本会議の議事を主宰するのは、それぞれの院の議長である。議長は、議事日程を定め、あらかじめこれを議院に報告するが(国会法第55条第1項)、とくに緊急の必要があると認めたときは、会議の日時だけを議院に通知して会議を開くことができる(国会法第55条第2項)。これについて感覚的に理解するのに、とても便利なものがある。衆議院HPの「本会議開会情報」の頁である。
たとえば、今開かれている第183回(常会)において、何月何日何曜日の何時に衆議院本会議が予定され、どのような案件をどのような順番で審査する予定であったのかは、議事日程を見るとわかる。国会法第55条第2項に基づき、とくに緊急の必要があると認められ、事前には議事日程を示さず、日時だけを示して開会したのはいつなのかもわかる。
また、実際には何時何分に開かれ、どのような案件をどのように審査したのか、いつ散会したのか、あるいは開かれなかったのか、あるいは休憩のまま再開できずに散会してしまったのかも、議事経過を見るとわかる。
議事日程と議事経過を見比べれば、いつどのような案件が日程に追加されて審査されたかもわかる。時間と興味がある方には、そうした楽しみ方もあるだろう。
国会でどんな法案が審査されているのだろうかと思ったときには、議事経過を見ていくと、結構楽しめるのではないかと思う。
<参議院本会議の議事日程、議事経過の探し方>
参議院の場合は、議事日程、議事経過ともに、参議院公報の頁に記載されていて、衆議院より見つけにくい。参議院のトップ頁の上の方にある「サイトマップ」をクリックして、参議院公報の頁に行き、議事日程は、「本会議・委員会等日程」のタブを、議事経過は、「本会議・委員会等経過」のタブをクリックする。ともに、その後は、国会回次を選択し(右側にある「選択」ボタンを押さないと、選択したことにならないので、要注意!)、「国会回次指定」の下にある「本会議」の文字をクリックすると、選択した国会回次の議事日程、議事経過を見ることができる。
なお、現在開会中の国会(今ならば第183回国会)の議事経過については、トップ頁の右側上部にある「今国会情報」をクリックし、本会議の議事経過を選んでも見ることができる。ただし、これも特定の日を選択して、1日ずつ見る形となっていて、面倒だ。
【参考】
・第183回国会参議院本会議の議事日程
・第183回国会参議院本会議の議事経過
<第3回の表はすごい!>
今見てきたように、参議院HPで参議院本会議の議事日程や議事経過を調べようとすると、結構手間がかかり、面倒だ。
ところが、第3回で作った表を使うと、かなり便利になる。
この前利用した「審議概要」(黄色に塗った部分)の右隣にある「会議の経過」(黄緑色に塗った部分)をクリックすると、参議院公報の頁が出てくる。ここで「本会議・委員会等日程」タブと本会議の文字をクリックすると、自分が知りたい国会回次における参議院本会議の議事日程が、一覧の形で出てくる。
また、「審議概要」をクリックし、3の「本会議審議経過」をクリックすると、同様に参議院本会議の審議経過が、やはり一覧の形で出てくる。
今国会については、一覧の形では出てこないが、たとえば、5月9日の参議院本会議の審議経過を見れば、当日の本会議で、山口の補欠選挙で当選した江島潔議員が紹介され、内閣委員に指名されたこと、室井邦彦議員の辞職が許可されたこと、環境委員長川口順子君解任決議案の趣旨説明を松井孝治議員が行ない、討論、記名投票の後、可決されたことなどがわかる。
いずれにしても、第3回の記事で記者が作った表を利用した場合には、普通に調べる場合と比べると、ずっと便利だ。実際に使ってみれば、すごさを実感してもらえると思う。
次回以降も、この表を使って、どんなことが調べられるか、紹介していく。
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