＜取締役会議（10）＞
議長の栗野は、
「谷野頭取から当初提案があり、動議にも提案のあった北野俊弘氏、川中隆史氏、梅原哲夫氏、大島俊之氏、木下秀男氏、小林辰彦氏、古谷政治氏、古田康彦氏の８名を取締役候補として選任することで全員の賛成を得ましたが、沢谷専務より谷野銀次郎氏の代わりに蔵元崇氏を取締役候補とする動議が出されておりますので、その趣旨について直接説明していただきたいと思います」
と述べた。
栗野から発言を求められた沢谷は、
「谷野頭取はこの２年間、財務体質の健全化などに懸命に努められました。今年度から始まる新中期計画も完成し、将来に向けての道筋も立派に整えていただきました。今年の３月末で当行は60周年を無事迎えることができました。その記念すべき節目でもあり、この度丁度任期満了を迎えられますのでこれを機にご退任いただき、次のステップを後進に託していただきたいと考え、新任取締役として蔵元崇氏を選任したいとする動議を提案したものであります。
同時に体調を崩され任期途中で退任される栗野会長と谷野頭取には、その功績を称え、顧問への就任をお願いしたいと思います」
と動議を提出した理由を説明した。
それを受けて栗野は、
「ただ今、動議を提出した沢谷専務より、谷野頭取にご勇退いただき、私と共に顧問への就任を求める旨の説明がありました。この件について他にどなたかご質問なり、ご意見はありませんか」
と話すと、早速挙手をした大島取締役は、
「谷野頭取にはこの２年間頑張っていただきましたが、様々な事故・事件があり、行員を始め行内のムードがすこぶる沈滞しています。先ほど沢谷専務からお話がありましたように、新中期計画のスタートを機に、行員が一致団結して営業力を前面に押し出すためには、是非ご勇退していただきたいと思います。今の谷野頭取体制は、『サッカーで例えるならば、警告があまりにも多過ぎて、選手が溌剌とプレーすることができない最悪のチーム状況』になっており、これでは営業力を強化しようにも無理があります。
そのため谷野頭取が退任されることで今回ムードを変え、新体制でスタートする方が良いと考え、その後任として蔵元崇氏を推薦したいと思います」
と、沢谷の動議に賛成する立場を明らかにした。
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