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ILC九州誘致活動進む~人類の知への追求
社会
2013年5月15日 15:42

 国際リニアコライダー(International Linear Collider。略称ILC)の九州、脊振山地への誘致が熱を帯びてきている。ILCとは直線粒子加速衝突機とでも訳せばいいだろうか、30km以上の長い直線(Linear)を用意し、電子と陽電子などの2種類の粒子をそこに入れ、エネルギーを加えて加速させる施設だ。

 加速というのは文字通りスピードアップさせることを指す。ただ、そのスピードアップがどのくらいかというと尋常ではない。ほぼ光の速さまで加速させるのだ。そして粒子同士を直線の中央部分で衝突(collide)させる。加速・衝突させる粒子が電子と陽電子(陽電子というのは、電子と性質が全く同じで電荷だけプラスを帯びている粒子)の場合は、ぶつかった瞬間、プラスとマイナスでお互いを打ち消し合い、粒子が消失する。
 常識的に普通の生活を送っていると理解しにくい現象だが、今あるものが消失する、文字通りこの全宇宙からなくなる、という意味なのである。消失すると、光の速さにまで高められ、さらにそれ以上付加されたエネルギーは、そのよすがを失い解き放たれる。エネルギーは衝突の瞬間にさまざまな素粒子に形を変える。つまり、無の空間に高いエネルギーだけを残したら何が産まれるかという、言いかえるなら小さなビッグバンと同じ状況をつくり出すのである。
 その実験をし、一瞬で消える素粒子たちを記録する装置がILCなのだ。すでにCERNという円形の大型粒子加速器がスイスのジュネーブにあり、ヒッグス粒子らしきものの発見という宇宙の真理に迫る大きな一歩を示した。さらに詳細な実験ができる装置、つまりILCを世界のどこかにつくろうという計画があり、どうやら日本のどこかになる公算が高そうだ、というのが現状である。

 その日本の中での候補地は2カ所。一つは東北の北上山地。もう一つは北部九州の脊振山地。九州陣営も誘致に向けて本格始動を始めた。

 誘致を推進している「九州へのILC誘致を実現する会」(代表・榎本二郎氏)は5月、前福岡県知事の麻生渡氏と九経連会長の松尾新吾氏を特別顧問に据え、活動をより積極的に展開していくことを発表した。
 同会では現在、インターネットを活用した署名活動や、街頭での署名活動を通じて、市民に直接ILCとは何かを伝えている(5月19日正午~午後3時、福岡市・天神ソラリアステージビル前で街頭署名を予定)。そして、ILCが描く夢を市民に理解してもらおうと奮闘している。こういった市民活動が実を結び、近い将来、九州の脊振の地が最先端科学の聖地となってくれたら、向こう100年にわたるエリアブランディングに大いに役立つと思われる。人類の知への追求を九州の地で。ILC九州誘致は、ぜひとも実現したい、そして実現可能性の高い夢なのである。

【柳 茂嘉】

▼関連リンク
・九州へのILC誘致を実現する会


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2013年5月 1日 16:27
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