東日本大震災の被災地で復旧作業に取り組んでいた自衛隊へ、消臭剤を寄贈した福岡の企業(株)リスペクトウェーブ(本社:福岡市西区)が、防衛大臣から特別感謝状を受けた。
同社の専務取締役である柴田剛さんは元陸上自衛官。柴田さんは自身の災害派遣活動での経験から、派遣された自衛隊にとって臭いが必ず問題になると考え、2011年5月13日、自社で販売を手がける消臭液ベチバースプレー200リットルを含む120~130万円相当の臭い対策グッズを陸上自衛隊第4師団に寄贈した。同社の消臭剤の原料である、インド原産のイネ科の植物ベチバーは、化粧品や香水にも使われており、防臭・防虫・防ダニ効果のほか、アロマテラピーの効能もあるという。
当時、東日本大震災の被災地では、海水を含んだ土壌・瓦礫などから漂う臭いが復興活動の妨げになっていた。「被災地では、風呂や洗濯もままならず、服についた臭いがとれません。まして今回は、津波によって大量の海水が除去する瓦礫などに含まれており、日が経つごとに悪臭は増します。臭いがきっかけで、凄惨な被災地の状況を思い出させることにもつながります。PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神的疾患の原因になるため、決して無視できません」(柴田さん)
防衛省によると、今回の特別感謝状は、東日本大震災に際して、災害現場その他の地域で活動に従事した隊員に対する慰問、激励など様々な支援を行なった個人または団体に贈呈されており、被贈呈者数は1,272(408名、864団体)におよぶという。
同社が、表彰されたのは12年9月27日付となっているが、今年3月になって柴田さんのもとに連絡された。元自衛官が現地で活動する後輩たちを気づかい送られた消臭剤。それもまた、被災地・被災者のためを想う自衛官の「絆」と言えるだろう。
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・健やか生活「未来屋(みきや)」(リスペクト・ウェーブ運営)
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