アベノミクス効果による円安、株高とデフレ不況脱出の気運が一気に高まっているようです。これも、今年初め、安倍政権が2012年度補正予算案に盛り込む緊急経済対策を閣議決定したことに負うところが大きいようです。この経済再生策では、東日本大震災の復興や防災事業、道路や農業施設の整備、トンネルや橋の老朽化対策といった公共事業が中心ですが、商店街の振興(ソフト事業、ハード事業)にもこれまでにない巨額の予算が投じられています。
今回は、このなかから商店街関係で、注目される事業を紹介します。
(1)商店街まちづくり事業(補助金)
この事業は、これまでにない巨額の事業で、総額200億円の予算が組まれています。郊外の大型店に客を奪われて衰退しつつある地域の商店街ですが、本来商店街は、単にモノやサービスを提供する場であることを超えて地域コミュニティの場、生活基盤としての機能を担っているのです。当事業では、ことを再認識し、商店街が地域の行政機関などからの要請に基づいて地域の生活者の安心・安全な生活環境を守るために各種の事業を行なうことに対する補助です。全国商店街振興組合連合会が国からの補助金を受けて基金をつくり、この基金を活用して事業は実施されます。
内容は、危険なアーケードの撤去や改修、防犯のための街路灯や防犯カメラの設置、高齢者の生活のために地域の女性や若手経営者が空き店舗を活用して各種商品やサービスを提供するといったことに対する補助です。多少ハード寄りの事業だけに、予算額が大きいのだと思います。補助率最大3分の2、補助額上限1億5,000万円と巨額です。
(2)地域商店街活性化事業(助成金)
この事業も100億円という巨額のうえに、補助金ではなく助成金であるところが注目されます。つまり、経費(項目の制限はあります)の100%が助成されるわけです。
国が発表した施策の目的には「地域経済や商店街等の活力が低下している背景や消費税増税への動きを踏まえ、地域経済及び商店街等の活力を維持していくためには、地域住民の需要に応じた商店街等の取り組みに対し、総合的な商店街等支援措置を講じ、地域経済及び商店街等の活性化を図ることが必要です」とあるように、消費税増税への対策という色合いが濃いようです。助成金の上限は400万円と手ごろです。したがってすでに全国から1,000近い申請が上がってきているようです。国が基金管理団体として全国商店街振興組合連合会を通すというスキームは、上記(1)と同じです。
内容は、「商店街の地域コミュニティ機能の強化(地域住民のニーズ調査、地域住民や協力組織との交流事業、子育て・介護等のサービス実施等)」「女性や若者のチャレンジ支援(研修事業等)」「商店街の情報発信(情報発信マップ作成、機関誌発刊、WEB掲載等)」「マーケティング調査・分析」が掲げられています。ソフト事業中心です。
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(株)地域マーケティング研究所
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