<世代間の温度差を対話力で解決>
ネット選挙解禁に至る法改正までには、政党間だけでなく、議員の世代間で温度差があったのが、特徴だ。普段からインターネットを使用している議員と、使っていない議員の間では、認識に差があった。
「参院選までには解禁するんだという安倍総理の強い意志があり、自民党のプロジェクトチーム(PT)および、ネットメディア局でも推進できた。最初は、大変だった。インターネットを使っていない議員にしたら、誹謗中傷、なりすましなど、心配な面の方が多い。反対していた議員のほとんどが、そこを心配していた」と、福田峰之衆院議員。ネットを利用することが多い若手議員は、解禁の必要性をわかっていたが、年齢層の高いベテラン議員らの多くは、インターネットになじみが薄く、普段、フェイスブック、ツイッターなどを活用する議員も少なかった。世代間の溝を埋める徹底した"対話"が扉を開いた。「反対していたベテラン議員を説得するのに苦労した。誹謗中傷やなりすまし対策も打っていくことを説明し、理解してもらった」(福田議員)。
<双方向性に期待>
ネットの利点は、情報の発信者と受け手がコミュニケーションを取れる双方向性。参院選から行われる解禁に関して、福田議員は、選挙期間中に"双方向"になるのが大きいと説明する。
「この政策はどうなのか?」、「本当に国民のためになるのか」。テレビでの政見放送、パンフレットや選挙ビラ、ポスターでも政策を学ぶことはできるが、一方通行であり、より深く考え、議論したり、質問をしたりすることはできない。ネット上であれば、国民と政治家の間で議論を重ねることもできる。そこに、双方に"気づき"があったりする。政治に、接する機会が増える利点がある。福田議員は「有権者の関心は選挙期間中がもっとも高まる。政治家は"より質の良い政治的メッセージ"を出せるようになる。それによって、国民に政治に関心を持ってもらい、投票率を上げることにつなげる。より政治が分かりやすくなる」とする。
自民党ネットメディア局次長を務める福田議員は、地方議員への改正法案の説明やいかにネットを上手に活用するかなどを説明する役目を担っている。全国の自民党の国会議員、地方議員にネットの積極活用を呼び掛けている。多くの議員が、フェイスブック、ツイッターなどを活用するようになれば、政治がこれまでよりも見えやすくなり、国民にとってもソーシャルメディアの利点である"共有"意識のもとに、「みんなが参加できる」という政治文化を築いていけることもメリットの一つだ。
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