約2億円をかけて行なわれた福岡市役所西側広場(通称:ふれあい広場)の整備事業。同事業によって、市役所の西口玄関側に屋根が設置されているが、同時に同広場にあった人工芝も拡張した。この人工芝は、吉田市長時代、「ヒートアイランド対策」を目的の1つとして敷設された。このことを覚えている市民がどれほどいるだろうか。
同広場の人工芝の敷設は、ヒートアイランド現象を緩和することを目的の1つとして、同市環境局の所管で2009年夏に行なわれた。かかった費用は工事費5,000万円および芝の選定のために行なわれた「ヒートアイランド対策実証実験」に約3,300万円である。なお、新しい芝の敷設工事にかかった費用1,500万円は、同広場に屋根を設置した整備事業の予算約2億円のなかに含まれている。
今回、拡張した新しい芝は、以前に敷かれた古い芝と明確に色が異なっている(画像参照)。新しい芝は、イタリアのモンドターフ社製で「中軸モノフィラメント2色混毛グリーン」。古い芝と同種の製品という。そして新しい芝は、環境局ではなく財政局の所管。同局の財産管理課が所掌する「本庁舎西側広場段差改善その他工事」において敷かれた。同課によると、新しい芝は古い芝よりもヴァージョンアップしており、色や様子は違うが、同じくモンドターフ社の製品。今後、使い込まれていけば同様の色になるという。
また、新しい芝は施工業者が古い芝に合わせて選んだという。古い芝の選定理由であったヒートアイランド対策については一切考慮されておらず、"単純に同種類のものを選んだだけ"。実証実験と合わせて約8,000万円が投じられた「ヒートアイランド対策」だったが、実施した市においても忘れ去られているようだ。
財政局と環境局の"なわばり"がきれいに色分けされた人工芝は、行政のいわゆる「タテワリ」を伝える。今後、さらに劣化していく古い芝の張り替えについては、財政局と環境局で調整しながら進めていくとのこと。ちなみに、本庁舎に向かって右端に、財政局のシマが環境局のシマに食い込んでいる部分があるが、人工芝へ水を与える給水管の工事で古い芝を剥いだため、新しい芝が敷かれたという。
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