自民党元副総裁の山崎拓氏(近未来政治研究会最高顧問)に、安倍内閣と日本の針路について、(株)データ・マックスの児玉直代表が独占インタビューした。山崎氏が、政治経済、外交で日本のとるべき"本道"を語った。
<米国も中国も核兵器を使いたくない>
――日中・米中関係はどう動くのか。
山崎拓・自民党元副総裁(以下、山崎) 米国は、日本への侵略対処は、安保条約5条に基づく共同対処だという。その場合、米国の軍事力と中国の軍事力が衝突して全面戦争になる。米中戦争になったら、人類は死滅する。米国も避けたいし、中国も避けたい。相当軍事力に差があれば別だが、核兵器、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を米国も中国も持っているから、ともに戦争はしたくない。核兵器を使いたくない。使ったら相手をやっつけることはできても、自分のところも廃墟と化すからだ。米国の為政者も中国の為政者もそれほどバカじゃないから、わかっている。「日本のために戦争をさせないでくれ」というのが、彼らの気持ちですよ。親中派のケリーが訪中して、北朝鮮問題で話し合ったということになっているけど、日本をあまり頑張らせないから中国も手控えてくれと言っているはずだ。ケリーは日本と中国の間に入るつもりだ。
<安倍政権には外交戦略がない>
――安倍首相の外交は単純過ぎると言えるのではないか。
山崎 ロシア、中東に行くのはいいが、あまり戦略的ではない。同行記者団によると、世耕内閣官房副長官が歯舞、色丹の二島返還で、国後、択捉は継続協議とすると言ったようだが、間違いだ。尖閣・竹島問題にもろに響く。プーチンはもともとKGBだから牽制球を投げ、心にもないことを言って攪乱している。日本は領土問題で半分でいい、あとは継続審議だとなれば、中国は、なぜ尖閣では妥協しないんだ、なぜ棚上げしないんだ、こっちも棚上げしろということになる。中国は棚上げの立場だ。安倍政権は尖閣に関しては、領土問題は存在しないと言っている手前、棚上げを容認したら安倍政権は吹っ飛びかねない。この政権は戦略が定まっていない。領土や拉致問題で点数を稼ごう、中国と全面対決していいところを見せようとするが、墓穴を掘っている。経済問題一本で参議院選挙が終わるまでいったら良かったのに、老婆心ながら心配している。
<選挙まで形勢が変わらなければいいが・・・>
――なぜ隠しきれないのか。政治家、権力者の行動パターン、心理パターンをお聞きしたい。経営者なら決めたことは儲かるためにはそのとおりするけれど、政治家も権力を維持するためには隠しておけばいいのに。
山崎 人気稼業だからですよ。支持率が高いとつい何でもやれると錯覚する。
――局面を変えてもらわないと困るのではないか。山崎先生は近未来政治研究会の最高顧問として、自民党政権存続の方向で支持しておられるわけですね。
山崎 そのとおりですよ。参議院選挙で過半数、維新と合わせて3分の2をとるのが目論見。果たして、あと3カ月形勢が変わらないかどうかが当面の問題だ。
――公明はついていくのか。
山崎 公明党は今まで平和主義と福祉の党として存在感を示してきた。しかし、現在は与党ぼけしてきたと言う人もいる。選挙を担う創価学会の中枢の方々は、日中国交正常化に功績がある池田大作名誉会長の薫陶を受けておられる。その方々が、現在のように行き詰まった日中関係の打開のために、公明党がひと働きするように指導してもらいたいと期待している。その意味では過日の山口那津男代表の訪中は立派な成果を挙げたと評価している。
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