台湾プロ野球リーグ(中華職業棒球例行賽)は、例年以上の人気を迎えている。4チームで構成されるリーグ、昨年まで化学薬品会社興農が経営していたブルズが経営悪化のためチームを売却。アウトレットモールやテーマパークなどを経営する義聯グループがチームを購入し、チーム名は「義大ライノズ(義大犀牛)」となった。
新規参入の義大は、大型の戦力補強を行ない、話題を集めた。メジャーで通算555本塁打の強打者マニー・ラミレスを獲得。40歳のラミレスはメジャー19シーズンで打率.312、555本塁打、1,831打点の通算成績で、過去台湾プロ野球史上「最強の助っ人」と言われ、話題性抜群だ。また、ロサンゼルス・ドジャースでプレーした胡金龍も獲得するなど、補強は十分だ。
台湾野球人気の再沸騰には、3月に行なわれたWBCの台湾ラウンド、東京ラウンドの影響も大きい。台湾代表チームには、メジャー通算61勝を挙げた「建仔」こと王建民が加わり、台湾ラウンドを1位で勝ち抜けた。惜しくも日本、キューバに連敗し、アメリカ進出はならなかったが、特に日本戦では序盤リードし優位に進めるなど、台湾の野球ファンのみならず、一般市民にまで深い印象を与えた。
一時は賭博問題などで人気に陰りが見えた台湾プロ野球だが、今年は開幕から客足も好調だ。義大はラミレスを中心にチームがまとまり、昨年の覇者、Lamigoも健在。4月20日に新荘球場で行なわれた「統一対義大」では1万2,500人の観客を動員した。
日本人が監督を務める統一ライオンズは、張泰山、高國慶ら強打者が揃い打撃力が高い。日本ハムなどでコーチを務めた中島輝士監督は、「WBCでは日本に敗れ残念だったが、確実に台湾全体の野球の底力も上がっている。台湾プロ野球全体も活気がついている。今年は各チームの戦力も上がって、見所が増えてきた」と語る。統一には広島、中日などで投手として活躍した紀藤真琴氏も投手コーチを務め、日本の野球を台湾野球界に伝える役割を担っている。4月19日には、テコンドー、ロンドン五輪銅メダリストの曾櫟騁選手が新荘球場で、4月21日には日本人作家の乙武洋匡氏が、天母球場で始球式を行なうなど、球界全体の活動が盛んだ。
統一ライオンズの張泰山選手は「多くの人に球場に足を運んで欲しい」と話し、鄧志偉選手は「自分たちの活躍で台湾野球界がさらに盛り上がれば」と意気込んでいる。
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