自民党元副総裁の山崎拓氏(近未来政治研究会最高顧問)に、安倍内閣と日本の針路について、(株)データ・マックスの児玉直代表が独占インタビューした。山崎氏が、政治経済、外交で日本のとるべき"本道"を語った。
<国内問題――バブルをつくるだけ>
――日本の政治、経済などの国内問題についてはどう考えているか。
山崎拓・自民党元副総裁(以下、山崎) 経済大国としての実質・名目成長率を取り戻そうとしているのは正しいが、処方箋が金融政策一本では無理だ。アベノミクスは3本の矢で財政も成長戦略もあるけど、金融だけでやろうとするとバブルをつくるだけだ。
――バブルは弾ける時期が来る。平成だけでも2回経験しているのだから。
山崎 マネタリーベースで資金供給量を倍にすると言っているが、それだけに頼ること自体が実体経済からかけ離れていく。それに見合って消費力なり生産力なりがあって、それに見合った資金を流すなら別だが、関係なく物価を上げるためだけにお金を流すのは意味がない。2年間で2%物価を上げるという日銀黒田新総裁のご託宣だが、2%上がらないか、2%よりもっと上がる可能性がある。
――安倍首相は、勤労者の賃金上げを要請している。5割以上の勤労者が物価に見合って給料上がればいいが、中小企業経営者としてはそれはあり得ない。物価上昇が2%で収まらなければ、大きな問題になる。
山崎 一時的に金融機関にお金を押し出していって、金融機関が企業にお金を貸せば経済が回るが、借りた企業がうまくいくかどうか。うまくいけば、回収できるが、不良債権の山になる可能性がある。
<経済政策 山崎拓首相であったならば>
――失われた20年と言われているが、山崎首相ならどうしていけばよかったと思っておられますか?少子高齢化により、2011年には前年比25万人の人口減となった。佐賀市と同じくらいの人口が減ったことになる。15年には宮崎市と同じくらいの40万人程度、20年には熊本市と同じくらいの70万人程度の人口減になると見込まれているが・・・。
山崎 日本経済の根本的問題は、少子高齢化が否応なしに進行するところにある。単に金融政策、マネーゲームでインフレを起こして景気を良くすれば一時的にそういう気分になるけれど、人口減にともない、消費者が減り、生産者も減っていく。一方、高齢化にともなって社会保障費は累増していく。高齢者の割合が全体の3~4割になると、社会保障費だけで財政はマヒしていく。日本は民主国家で、社会保障国家であるから、お金がないから我慢しろとは言えない。当面、デフレ経済からの脱却の様相は呈しても、少子高齢化という根本的な原因が直らないなら、経済規模は拡大しない。ここの対策をやらなければいけない。成長戦略といっているが、まず大事なことは、少子高齢化をくい止めることだ。フランスみたいに、合計特殊出生率を2.0超に戻す。そうしない限り、人口は減る。
――国防軍にしても、人口が減って若い人がいないのに、誰を国防軍に入れるのか。国防軍といって強化するなら、人口増を考える必要がある。
山崎 男よりも頭がいい女性が有権者の半分以上いる。そこが読み違いだ。男の子がいる女性はダンナよりも息子の方が大事だ。戦争をさせたくない。
――その人たちは子どもがいるけど、20代、30代の女性を採用しようと面接してみても、結婚したり、子どもを産んだりしないまま人生を定めきれずに歳をとっている印象があり、少子化の問題は深刻だと思う。
山崎 その通りだ。
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