(株)ラグジュアリー・春野ヒデミチ代表取締役CEOは、美容室に加え、エステサロンやネイルサロンなど、複数店を運営し、その他自社製品の美容商材販売やイベントプロデュースを行なっている。また、スクール事業として、ヘアメイクに特化した美容学校ジャパンヘアセットスクールも運営。
日本は少子化による人口減少で、美容市場は縮小。結婚や子育てを機に、美容業界から離れる女性美容師も多く、明るい材料は少ない。春野氏は、「続けられるなら、続けたい」との切実な声を受け、美容業界の改革に挑んでいる。美容業界と介護福祉を結びつけ、福祉美容を確立し、社会貢献を目指す若手経営者に聞いた。
――介護分野への参入は以前から考えていたのですか?
春野ヒデミチ氏(以下、春野) そうです。ただ前提として、弊社は経営の多角化はしないと決めています。現在の事業を100%確立するまでは、専門外の事業を行ないません。100年以上続く企業の中で、経営の多角化にも成功しているところはほとんどないと考えています。ですから、美容分野でまずトップに立とうと考えていました。
介護分野への参入は6年ほど前から考えていました。現在、国内には22万店の美容室があります。エステサロンが5,000店、ネイルサロンが3,500店あり、すでに完全な飽和状態です。2兆円産業だと言われていますが、信号機の数よりも美容室の数は多い。そんな状況でも、弊社の運営する美容学校にも、常時生徒は入学してきますし、卒業もしていきます。ですが、その卒業生たちがみな独立していったら、どうなるのかというのが福祉美容に目を向けたきっかけです。「美容がやりたい、仕事にしてみたい」という人たちの受け皿をどうやって準備すればいいのか。そればかり考えていました。この状態で今後も同じことを続けていてはいけないと思い、介護分野への参入を決めました。
――今、訪問医療は浸透していますが、福祉美容はまだ一般的ではないですね。
春野 認知度は低いのですが、実は以前から行なわれています。病院や介護施設にいても、身なりには気を配りたい人は多い。弊社では定期的にマーケティングを行なっています。ウェブサイトやメール会員、facebookなどでアンケートを行ないました。入院したことがある300人を対象に、入院中も髪を洗って欲しいと答えた方は180人。洗髪してほしいと答えた人が予想以上に多かった。十分に需要が見込めます。
また、日本の人口ピラミッドを見てもわかるように、完全な逆三角形。今、美容に関心があって、顧客の中心となっている若者がこれから将来確実に減っていきます。日本で美容ビジネスを考えた場合、高齢者層を顧客対象にしていかなければ、立ち行かなくなります。
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■(株)ラグジュアリー
代 表:春野ヒデミチ
所在地:福岡市中央区天神1-9-17-15F
設 立:2004年6月
資本金:900万円
TEL:092-717-3566
URL:http://luxury-ltd.com/
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