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独占インタビュー・山崎拓氏、愛国ひと筋(7)~租税政策が打てない
政治
2013年5月23日 07:00

 自民党元副総裁の山崎拓氏(近未来政治研究会最高顧問)に、安倍内閣と日本の針路について、(株)データ・マックスの児玉直代表が独占インタビューした。山崎氏が、政治経済、外交で日本のとるべき"本道"を語った。

(聞き手・児玉直、山本弘之、石坂文)

<アベノミクスの弱点 租税政策がない>
 ――アベノミクスの何が問題ですか。

yamasaki.jpg 山崎拓・自民党元副総裁(以下、山崎) 伝統的な政府の経済政策だと、財政政策、租税・税制政策、金融政策だ。アベノミクスには租税政策がなく、その代わりに成長戦略を置いた。3本の矢だから、金融政策、財政政策、これは約10兆円の補正予算。そして成長政策と称して、まずTPP参加を決めた。なぜ租税政策を打ち出せないかというと、消費税を上げるからだ。当面の税制改正は消費税増税だ。来年の4月から8%に、再来年の10月から10%に上げる増税が決まっているから、今、新たな租税政策を打ち出しようがない。景気対策の租税政策というのは減税ですから、これは打てない。法人税を今の30数%から20%台に落とすと言っているが、国家税収の最大のものは、消費税と所得税と法人税だ。消費税を上げて法人税を下げれば、元の黙阿弥である。

 ――つまり、法人税を下げたいけれど、できないわけですね。

 山崎 財政再建の見地からは、当面法人税を下げられない。財政再建は、国際社会が日本に強く求めている。あまりにも国債残高が多い、1,000兆円にもなって、GDPの倍にもなった。国際社会は呆れている。日本はイタリア化するぞと、警告が発せられている。今秋に消費税を上げないと決めれば、上げないこともできる。安倍首相ならやりかねない。4-6月期の経済統計を見て、景気が良くなった、税収ががっぽり増えるから消費税上げる必要ないと。私はそんなに景気が良くなるとは思わないけど。しかし、そういう判断に立ったとき、国際経済からは轟々たる非難を浴びる。この消費税問題は今ほとんど議論されていないけど、この秋には上げるか上げないか判断しなければならない。

<「消費税増税凍結」はできない>
 ――安倍首相は迎合主義できているから、やりかねませんな。

 山崎 安倍首相は参議院選挙が終わった後決めようと思っている。参議院選挙に負けたときには、消費税の引き上げ凍結を考えている。これをやったら、轟轟たる非難が起こる。財務省も反対する。安倍、麻生両氏の仲も悪くなるでしょう。

 ――安倍、麻生の間は内ゲバになりますね。

 山崎 麻生氏は、財務省の言われるままだから。消費税問題はデリケートだ。4-6月期経済統計でいくというが、がばっと景気がよくなって、税収が増えて、消費税を上げるのを凍結するというようにはうまくはいかない。4-6月期には金融緩和効果による企業収益の改善は未だ本格的にはならないだろう。

 ――大企業の納税はどれだけ税収に貢献しているのか。中小企業がコツコツ納税している方が全体では大きいはず。国債残高1,000兆円の問題、江戸時代の徳政令ではないが、膨大な超インフレで、国債を踏み倒す方策を財務省は描いているはずです。

 山崎 日銀に過度に依存した経済政策は問題である。通貨量を増やすだけだ。貨幣数量説で物価が上がるというもので、札束を刷って、銀行に国債を買わせたり、貸し出せという。銀行が貸せば別だが、日銀が直接貸すわけではない。銀行は不良債権になると困るから結局貸さないことが多い。だから、中小企業に資金が潤沢に回るわけではない。貨幣数量説で必ずしもうまくいくものではない。

(つづく)
【文・構成:山本 弘之】

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