<防災教育の充実狙う>
災害の多い日本。自らの命、家族の命を守るために、日ごろから、防災意識、被害を最小限に抑えるための減災意識を持っておくことが大切だ。だが、子どもたちにとって、防災・減災の知識や、実際にどのように行動すれば命を守れるのかを学ぶ場はまだ少ない。
元NHKキャスターで、大阪芸術大学教授の平野啓子氏ら教育・防災・報道各界の有志が設立した一般財団法人「防災検定協会」(東京都千代田区)は、子どもたちの防災・減災の意識を高め、災害が起こった際の行動力を身に付けるため、小中学生を対象にした「ジュニア防災検定」を、今年11月から実施する。
理事長を務める平野氏は23日、都内で行なわれた記者会見で、「東日本大震災では、防災の知識と備えがもっとあれば、あれほど甚大な被害にはならなかったと思います。悲劇を繰り返さないためにも、防災・減災の取り組みの大切さを未来に伝えていきたい」と、協会設立と防災教育推進への思いを語った。なお、NET-IBの「本気の安保論」でおなじみの拓殖大学客員教授・濱口和久氏が理事と事務局長を務める。
<"行動"するための検定>
検定は、従来の検定とは一風異なり、3つの部門からなる。まず、事前課題では、両親や兄弟と、どのように防災するか、災害が起こった時にどこに集合するかなどを話し合い、レポートにまとめる。次に筆記テストを行ない、それらの知識を踏まえて、地域に起こると予測される災害について、住んでいる地域を実際に歩いたり、調べたりして、地図やレポートにまとめる事後課題が課せられる。暗記するだけの検定ではなく、子どもたちが災害に遭った時に"行動できる"ようになるための検定を目指す。
検定は、初級、中級、上級に分かれており、中学3年生までが受検できる。第1回検定は、初級と中級のみ11月24日に東京、大阪など主要都市で行なう。検定料は、初級2,000円、3,000円の予定。
東日本大震災では、行政や教育者、大人たちに防災・減災の意識と知識が足りなかったがゆえに犠牲者が増えた。現在、首都圏、東海地方など広い地域で南海トラフ巨大地震の発生が、懸念されている。教訓を未来につなぎ、地震、津波など大災害が発生した際に、犠牲者の極小化を図らなければならない。濱口氏は、「この検定をきっかけに、防災への気づきを与え、防災意識の大切さを広げていきたい。1人ひとりの子どもたちが、家族や友だちと助け合い、生きるすべを学び、災害に遭った際に"行動できる"ようになることが大事だと思っています」と、語った。
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