中国経済新聞は、2001年に創刊された、日本初の本格的な中国経済情報専門紙。今回は5月15日(水)発行の第223号からトップニュースを抜粋。習近平政権の影響を受けた中国経済の「今」をご紹介する。
高級車・腕時計の売れ行き低調~反腐敗で専門店が閉店
昨年12月から始まった習近平政権の反腐敗運動で、中国の高級品市場が打撃を受けている。官僚の高級車の使用が禁止され、更に官僚自身も高級時計などの受け取りを控えている。そのため今年の第一四半期には高級車や高級時計の売れ行きが全面的に暴落している。
昨年以来、何人かの官僚が高級ブランド時計を付けていることをネット上で暴露され、「表哥(腕時計を表す「表」と兄を表す「哥」)と揶揄されている。その後の調査でこれらの大部分が収賄であったことが明らかになった。反腐敗調査部門はすでに摘発専門の窓口をサイト上に設けている。スイスの時計連合会のデータによると、今年第一四半期の中国向け輸出は昨年に比べ26%減少している。
スイスの有名ブランド、オーデマピゲのCEDであるヘンリー氏は「今後中国市場の減少が予測され、今後より一層の注意が必要だ」と語った。オーデマピゲは中国で22店舗展開していたが、そのうち6店舗は閉店に追い込まれている。
「海外旅行でショッピングする富裕層がますます増え、中国の贅沢品の半分は海外で購入したものだ。50平米程度の規模の店なら中国で開くよりパリの方が意義がある」とヘンリー氏は言う。
北京と上海では、ルイヴィトンのような高級ブランドでも最近では低調だ。北京京華時報の報道によると、このようなブランドのバッグや服を買うのは、一部の富裕層の婦人を除けば、大部分は官僚や企業家が愛人に貢ぐために買われているという。習近平の反腐敗運動によって、官僚たちが愛人に金やブランド品を貢ぐことがなくなるかもしれない。
高級腕時計やブランド品が売れなくなったと同時に、高級車も売れなくなっている。中国で最も経済が活発な浙江地区は高級車の主要な消費地である。最近「杭州の高級車ディーラーの80%が欠損をだした」という情報が流れ注目を集めている。
BMWは中国高級車市場の減速に対し早くも警告を発している。昨年BMWは32万6400台のBMWと「ミニ」ブランドの乗用車を販売、前期比で40%も増加していた。これは「ADD(アウディ、BMW、ベンツ)」という言葉に良く表れている。しかし、今年の4月には9%にまで落ち、第一四半期では7%に落ち込んだ。
中国自動車工業会のデータでは、今年の第一四半期には高級車市場の増加率はわずか4%、昨年同期比の販売では80%も減少している。これは予想をはるかに上回る減少だ。
BMWの大中華地区の副総裁、呉燕彦氏は中国経済新聞のインタビューに対し、「我々は中国の贅沢品市場が奇跡的に増加した時代はすでに去り、将来は緩やかに増加すると考えている」と語った。
呉氏の分析によると、政府と軍は反腐敗キャンペーンで不正・腐敗に反対し清廉を提唱、高級車の購入を制限しており、これがBMWの販売量の大幅な減少の最大の要因であるとしている。同時に社会的に高級車を乗り回している人に対し敵意を持つ心情が生まれるというのも一つの原因だ。
当然ながら中国経済が減速していることが、高級車の販売激減の原因を作っている。
習近平主席が「幹部は国産車に乗るべき」と提唱して以来、政府と国有企業幹部の公用車は輸入車から国産車に転じ始めている。そのため、日系を含む自動車メーカーは、中国市場での販売を維持するため、中国で製造する「国産化」を実現し始めている。
日産自動車は高級車のインフィニティを来年中国国産化する計画だ。ホンダのアコードも三年後には国産化の計画である。トヨタのレクサスの中国国産化については曖昧だったが、最近は「中期的」に国産化の問題を解決するとしている。
北京のある高官は中国経済新聞に対し、習近平は今年さらに厳しい共産党の是正運動を実施して、公費で高級車や高級品を買ったり、幹部が高級ホテルで飲食することを禁止することを明らかにした。さらに消費市場が長期にわたって打撃を受けるに違いない。
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