自民党元副総裁の山崎拓氏(近未来政治研究会最高顧問)に、安倍内閣と日本の針路について、(株)データ・マックスの児玉直代表が独占インタビューした。山崎氏が、政治経済、外交で日本のとるべき"本道"を語った。
<日中の対立点を増やしてはいけない>
――尖閣問題では、野田首相のときだが、中国が「顔をつぶされた」と怒りだしたが、安倍内閣でも、麻生副総理が靖国神社に参拝して中国の顔をつぶして怒らせた。
山崎拓・自民党元副総裁(以下、山崎) 尖閣でテンパっているのに、日中の対立点を増やしたらいかん。尖閣だけで日中対立が大変な時代になっているんだから、また別の角度からけんかを売る必要はない。
――まずは、北朝鮮を封鎖しなければいけないと思うが・・・。
山崎 北朝鮮問題で団結しなければいけないのに、尖閣以外で新たな火種をつくるんだからバカな話だ。
――麻生副総理は72歳になってもボンボンですね。北朝鮮の問題はどうなると読まれますか。
山崎 中国が抑え込むと思う。中国次第だ。
――先生が特使として中国に行くということはないんですか。
山崎 北朝鮮が言うことを聞く可能性があるのは中国だけだと思う。日本は拉致問題一辺倒で、核ミサイル問題では足手まといになっている。米国が「核保有国であることを認める」と言えば別だが、そんなことは言わない。言われたらおしまいだ。
――米国が北朝鮮を属国化するほうが早いのではないか。
山崎 中国は、北朝鮮が米国の支配下に入るのは好まない。米国と国境線をはさんで対立するのはたまらない。国境線が長いから、北朝鮮に大量に難民が発生したとき、どっと入ってくるのも困る。中国は北朝鮮に静かにしろと言っているが、金正恩第一書記は若くて、いいところをみせようとして戦争ごっこをやるから、皆迷惑している。
――中国が北朝鮮を属国化するようなことはありませんか。
山崎 これもないと思う。
<安倍政権の行方 日米、日中関係がカギ握る>
――日中関係の今後をどう見ますか。
山崎 中国と事を構えようという国はない。安倍首相が価値観外交で周りを回って、同じ民主主義だからといって周辺の国を味方につけて、中国を窮地に追い込もうとしても無理だ。日米関係以外は頼りにならない。その米国が安倍首相の姿勢を疑問に思い始めた。河野談話・村山談話の見直しをするとか、慰安婦は存在しなかったとか、侵略の定義は決まっていないなどいろいろ言うから、米国も心配になってきた。米国は徹底した議会制民主主義の国だから、安倍首相の言っていることに米国議会が反発している。なんて無茶なことを言っているんだと思い始めている。侵略の定義とか言い始めたら、米国は心配になる。従軍慰安婦でも「自ら進んで慰安婦になった」なんていう話は米国には通らない。中国も心配になっている。さらに、極東裁判はインチキだとも言う。極東裁判は連合軍がやったわけだから、それを否定された日には、今日の日米安保が根底から崩れる。
――安倍首相に日米安保を打ち切って自主軍を持つ覚悟があればいいのだが・・・。
山崎 その覚悟はないけど、そういう思想があるとすれば、間違いだ。このままでは、核武装論まで行く。それは一番恐るべきことだ。広島、長崎の原爆被害のときに生まれていなかったことが、安倍首相の安全保障観をおかしくしている。
――安倍内閣は今後、どのような方向に行くのか。参院選の結果如何によりますか。
山崎 参議院選挙でまずまずの結果が出れば、あと約2年はもつだろう。外交・安全保障、日中関係がどうなるかだ。これが最大の山だ。
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