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なぜ進まぬ久留米市の耐震検証(中)~悪夢に変わったマンション購入!
社会
2013年5月27日 07:00

 「恐怖のマンションから脱出しなければならないと不安です。私たちの生命と財産を守ってください」、「安全で住める家がほしい」。住民らは不安な日々を過ごし、久留米市や鹿島建設への憤りが爆発寸前だ。

<一流ブランド・鹿島を信頼して購入>
 新生マンション花畑西(福岡県久留米市)は1996年に竣工・販売され、住民らは新居での生活を夢見て、購入を決断した。住民の多くが、「施工・鹿島建設」という"一流ブランド"を信頼した。
 「市街地を見晴らす15階建、パノラマビュー」、「住みやすさと便利さがいっぱい」。新生マンション花畑西の販売当時のパンフレットに、ばら色の言葉が踊る。今では、並べ立てられた文字が皮肉に聞こえる。

tirasi_s.jpg 入居直後から、信じられない事態の連続だった。
 「入居してまず最初、ベランダの窓のサッシの開け閉めがまったくだめでした。とにかく、ドアに関わるところは全部異常。廊下(共用部)のコンクリにも部屋の中にもヒビ割れが次々に出てきた」。マンション住民の1人は入居当時のことを振り返る。
 立体駐車場は、自動車を載せたレールを上げると、右側の車輪を載せたレールと左側の車輪のレールの高さが大きく違い、車体が転げ落ちそうなくらい傾いて、大騒ぎになった。
 1997年以降、マンション管理組合が販売会社の新生住宅(本社・久留米市、永野宗重社長=いずれも当時。08年解散)と施工業者(元請)の鹿島建設に繰り返し調査や補修を求めていた。
 04年頃、ついに非常階段のコンクリートの塊が落ちる衝撃的な"事故"が起きた。幸い、落下した先に誰も人がいなかったので、人身事故にならずに済んだ。
 「終の住み家として買ったのに・・・。コンクリートが落ちてきたんですから、こんな危険なマンションに、そのまま住むわけにはいかないと思った」(別のマンション住民)。

 住民らによると、04年には、鹿島建設が「鹿島建設施工による標準的な建物とは言えない」、「当社の施工不良によるコンクリート塊の落下を招き」と認めて、「鹿島の責任」で調査補修を明言。その後、管理組合と鹿島建設らの協議の末、共用部の補修工事が開始された。

 当時撮影された状況写真には、鉄筋の腐食とコンクリートのはく落、コンクリートのかぶり厚の不足、鉄筋露出、壁や梁のひび割れなどが写っている。
 これらの施工不良は、今年になって明らかになった耐震強度不足の序曲に過ぎなかった。
 「小さい子を抱えながら、夜も仕事をして貯めたお金を頭金にして買ったのに...。今は年金生活でギリギリの生活です。地震が来たらどうしようと、ビクビクしながら生活している。悪いことは何もしていないのに、どうして。こんな毎日になるとは夢にも思わなかった」。あるマンション住民は悔しそうに唇をかんだ。

 鹿島建設九州支店の広報担当は取材に対し、「第三者にはお話しするのを差し控えている」とコメントしている。

(つづく)
【特別取材班】

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▼関連リンク
・楢原利則・久留米市長らにあてた陳情書(大要)
・新生マンション花畑西・下川紗葵理事長に聞く


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