27日、橋下徹大阪市長（日本維新の会共同代表）は、日本外国特派員協会の報道昼食会において、いわゆる「風俗活用」発言について、米軍・米国民を侮辱する不適切な表現だったとして、撤回と謝罪を行なった。しかし、その他の慰安婦問題に関する発言については、真意と正反対の"誤報"がなされているとして、遺憾の意を表明するにとどまった。一連の橋下発言を受けて、NET-IBが主催した座談会「女性の視点から橋下氏の慰安婦発言を語る」（21日開催）の模様を紹介する。

＜年代が違う３人の働く女性＞
　今回、NET-IB主催の座談会に出席したのは、Ａさん（60代）、Ｂさん（40代）、Ｃさん（20代）の３人。過去に主婦経験を持つ人も含まれるが、今は、バリバリと働いている女性たちばかりだ。
　日ごろから、女性の活用、男女共同参画の推進に尽力している人や外国での生活経験がある人もいて、様々な観点からの発言があった。　
　司会役の記者も含め女性だけの座談会、その模様を３回にわたって伝えていく。

＜公人の発言は慎重に＞
　――皆さんは、一連の橋下発言問題について話をする際、ためらいを感じられるようなことはありませんか？また、橋下氏の「慰安婦必要」発言について、どのように思っておられますか？

　Ａさん　この座談会の前に、男性がどう考えているのか知りたくて、70代の住職、50代の会社員に聞いてみたのですが、「皆が感じていることだが、語る必要のないこと」、「歴史問題は、常に慎重に発言しないといけない」といった答えが返ってきました。そのとおりだと思います。正しいかどうかに関係なく、場所と立場を考えるべきです。必ず反発があるのに、取り返しのつかないことをなぜ言うのか、橋下氏の真意がわかりません。慎重に発言すべきです。

　Ｂさん　大阪市長、日本維新の会共同代表という公的立場の人が、女性を蔑視するような言葉を使って不適切な発言をしたというのは、問題だと思っています。普通の人が言うのとは違います。日本の報道は偏っていて、全体でどのような話をしたかもわかりにくい報道になっているとは思いますが...。少なくとも、慰安婦問題というのは、橋下氏がどうしても提起すべき問題ではないように思います。

　Ｃさん　やはり、公人の立場で、あのような発言したのは問題だと思います。不快感を抱く人もかなりいると思います。弁護士でもあるのになぜ？という気もしました。慰安婦問題が話題にのぼること自体は悪いことではないですが...。橋下発言について周りの女性に聞いてみましたが、容認する人もいれば、「自分の子がもしそんな立場に置かれるとしたら言えないだろう」、「強制されたと言っている被害者があの発言を聞いたら―と考えると、やはり不愉快に感じる」、「言っても仕方がない」など、さまざまでした。

　――橋下発言のなかでも、「戦場の性において、女性を活用」という言い方は、女性を性の対象と見ることを肯定しているようで、個人的には不快に感じ、無神経だなと思ったのですが、皆さんはどうですか？

　Ａさん　戦時だから女性を必要とするというのは、男性の心理としてはわかりますが、それを正当化してしまうことが、過ちを犯すもとになると思います。たとえ最初は強制ではなかったにしても、戦時にはノーとは言えない、従わざるを得ない状況となります。暴力的に道具のように扱われれば、心に傷が残るし、強制と感じることになるかもしれません。
　やさしく接していれば違うかもしれませんが、さまざまなケースがあるはずです。いずれにしても、発言は慎重にすべきです。

　Ｂさん　戦争を経験していないので、想像するしかありません。想像を絶するストレスのなかで慰安所ができてきたという可能性もあり、非常に複雑な問題だと思います。

＜「風俗活用」発言について＞
　――在日米国海兵隊司令官に対し、軍の規律維持のために風俗を活用するよう勧めたことについては、橋下氏自身が16日に「不適切だった」と釈明し、松野頼久日本維新の会国会議員団幹事長も、「橋下徹共同代表の慰安婦問題を巡る発言に関する見解」（17日に同氏のブログに掲載）において、不適切であったとの認識を示しています。皆さんは「風俗活用」発言に対してはどう感じていますか。

　Ａさん　司令官にあのような発言をするのは失礼で、プラスにはなりません。世界の人が皆自分と同じ考えではありませんからね。女性を「買う」という考え方は改めてほしいと思います。自分のほうが優位に立っていると考えていなければ、あのような発言は出てこないのではないかと思います。

　Ｂさん　たしかに「風俗を使って」などと言うのは不適切です。しかし、日本の政治家のなかで、強気で米国などと対等に渡り合える政治家の存在は貴重だとは思います。駐沖縄米軍による性犯罪があまりに多いので、嫌みで言ったのかもしれないと思いました。

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