台湾のテレビ局でスポーツジャーナリストを務める鍋光氏。福岡にもゆかりがある彼が語る、台湾メディアと福岡メディアの違いとは――。
野球は日本人に最も愛されているスポーツだと言える。その反面、以前は、毎日のように放送されていた巨人戦が、地上波で常時放送されなくなるなど、野球が日本人の日常から離れつつあるのは、寂しい限りである。そうしたなかでも、「WBCワールドベースボールクラシック」はある程度の吸引力を保っていると言えるだろう。
第3回を迎えたWBCでは、日本は惜しくも準決勝で敗れた。プエルトリコ対ドミニカが決勝戦になったが、主催者側としては最も「望まない」組み合わせになったかもしれない。というのは中南米の2カ国の決勝では、両国のマーケットが小さく、スポンサー収益の見込みが薄いためだ。日本で決勝戦は録画中継となったが、アメリカ、日本、韓国あたりが勝ち上がっていない状態では「興行」としての価値が薄くなったとも言える。
準決勝までの日本戦で、その試合の持つ意味、スコアなどから「見る価値のある」試合は2試合だけだったと言えるかもしれない。予選第1ラウンドは福岡で開催されたが、日本、キューバ、中国、ブラジルの4チームのなかから2チームだけが勝ち上がるというものだった。しかも、中国、ブラジルの実力はかなり格下で、勝ち上がる2チームは戦う前から予想がつく状態のなか、第1ラウンドは、「日本対キューバ」ですら消化試合だったと言えなくもない。
では、「見るべき価値があった」のはどの2試合なのか。それは第2ラウンド「日本対台湾」、準決勝「日本対プエルトリコ」のみであろう。第2ラウンドの他の試合も意味を持つがスコア上、大差がつきすぎた。プエルトリコ戦は、ご存知の通り、内川の走塁死などがクローズアップされた。もう1つの試合、「日本対台湾」は、結果的には3−2で日本が勝利を収めたが、中盤まで台湾がリードし、日本にとっては「冷や汗」モノの勝利となった。
この「日本対台湾戦」。台湾メディアはどのように見ていたのか・・・。台湾サイドからの視点を取り入れながら、試合を振り返ってみる。
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