<観光戦略の資料なし>
佐賀県の観光面での取り組みを知るべく、佐賀県庁に、佐賀県の観光戦略に関する記載のある資料が欲しいと問合せしたところ、「特にありません」と回答された。
県として、観光に関する記載があるのは、佐賀県政策カタログ2011(佐賀県総合計画2011)のなかのほんの一部。観光戦略のみの資料というのは存在せず、一般社団法人佐賀県観光連盟担当者は、「県政カタログに載っていないのもかなりありますが・・・」と話してはいたが、積極的に観光戦略についてまとめた資料がある他県と比べれば、観光事業への熱意はあまり伝わってこない。
その佐賀県政策カタログ2011には、観光客の誘致促進という項目があり、そのなかに、「目指す姿」「現状と課題」「取組方針」「主な具体的取組」「指標」という5つの項目が記載されている。
佐賀県が観光で「目指す姿」として、「佐賀県の歴史や風土、文化、食、温泉等の各種観光資源が評価され、佐賀県に目的を持って観光に訪れる人が増えている。また、佐賀県内で数多くのドラマや映画の撮影が行われており、佐賀県が全国や海外に発信されている」と、掲げられている。
それにともない、「指標」には、宿泊客数に関して、14年度に10年度256万7,000人より59万1,000人増の315万8,000人を目指すことと、佐賀をロケ地とした映画ドラマ誘致数に関し、2014年度までに15本以上誘致することが記載されていた。県政カタログの観光分野で具体的な数値目標が記載されていたのはこの2点のみであった。
<観光客増のため、ヒット祈願>
なぜ、佐賀県は、ドラマや映画のロケ地誘致に積極的なのだろうか。
佐賀県フィルムコミッション担当者によると、「国内のロケ地誘致の取り組みは2005年から、海外向けは2011年より取り組んでいる」という。
そのドラマ・映画がヒットすると視聴者のなかから、ロケ地に行きたいという人が出てくる。そのロケ地を新たな観光地として確立させたいというのが狙いだという。
2006年、佐賀県を舞台とした島田洋七氏の「佐賀のがばいばあちゃん」は、書籍は総計400万部、映画も興行収入6億円という大ヒットを生み出した。この作品のヒット後、ロケ地に行ってみたいという観光客が増えており、「やはり影響はあった」(フィルムコミッション担当者)のだという。
佐賀県フィルムコミッションでは、ロケ地の提案や、ロケ隊のサポート、エキストラの募集や手配などを行なっている。
現在、国内作品のロケ地誘致は計画通りに進んでいるというが、海外作品のロケ地誘致は進んでいない。
佐賀空港には中国・上海路線に国際線LCCが就航、また、韓国・仁川路線が13年夏ごろに開かれる予定だ。佐賀県がこれをチャンスに、中国、韓国での知名度アップを図る構えであることは言うまでもない。
しかし、ドラマや映画が当たるかどうかは作品次第。計画的に観光客を増やすならば、認知度向上を目的として、積極的な情報発信や、PR活動を継続して行なうべきである。
恒常的なPR活動も行なっているということだったが、フィルムコミッションに比べると具体的な取り組みや方針が見えてこない。しかし、佐賀には、観光資源もあり、観光地としての魅力を上手く伝えていくことが出来れば、今以上の観光客を呼び込む潜在力が十分にあると言えるのではないだろうか。
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