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脱原発・新エネルギー

北九州スマートコミュニティ創造事業(1)
脱原発・新エネルギー
2013年5月30日 17:46

 電気をどうつくるか。ほとんどの原発が停止している現在、それは大きな課題の1つとなっている。原発に頼ってきた電力政策が大転換を迎え、未来に向けてどう舵を切るべきかが模索されているのだ。それにともない、これまで停滞気味だった発電の新技術が次々と盛り返しを見せ、新たな提案がなされてきている。同時に、電力を使いこなすか、という点も見直されているところだ。北九州市八幡東区東田では今、北九州スマートコミュニティ創造事業と銘打ち、エネルギーに関するさまざまな実証実験がなされている。

<エネルギーの未来を描く>
sm.jpg 大震災以後、原発に頼り切ったエネルギー環境からの脱却が模索されている。「再生可能エネルギーへシフトすべし」「いや原発を再稼働させよ」「そうではなくて化石燃料発電分を増やせばよい」―といったように、さまざまな見地からさまざまな提案がなされているのが現状である。そして、それに呼応するように、多くの再生可能エネルギーの技術が萌芽してきている。完成された技術である太陽光発電のみならず、風力やそれ以外の技術まで、あらゆる事象を電気に変換する可能性の模索が始められている。

 議論の俎上(そじょう)に上るのは主に2つ。電気のつくり方と使い方である。その両者を総合的に実験しているのが北九州市である。実は現在、日本国内4都市で、生活の質を高めながらエネルギーを上手に活用する方法が試されている。横浜市、豊田市、けいはんな学術都市、北九州市の4都市である。

 それぞれ、目的を持って実証実験がなされているのだが、北九州市が掲げる目標はエネルギーマネジメントのあるべき姿を見出すこと。具体的には新エネルギー導入の強化や地域エネルギーマネジメント、交通システムの整備などにより、現状より一般的な街に比べてCO2削減量50%超を実現することとなっている。すでに30%の削減が実現していることから、その方向をさらに加速させ、20%上乗せするということである。

 そのための具体的な方法は次の5つ。

(1)太陽光発電、燃料電池、小型風力など新エネルギーの導入率を10%以上に高める。
(2)地域エネルギーマネジメントと協調が図れるHEMSやBEMSを開発し、一般家庭や各種ビルの省エネ効率を高める。
(3)先進的なエネルギー制御や、電気自動車(EV)、蓄電池などを組み合わせてエネルギー流通の全体最適を図る「地域節電所」を整備する。
(4)EVなどの大量導入を可能にする充電設備の整備と並行し、自転車や公共交通機関が連携する次世代交通システムを構築する。
(5)実証で得た新技術やシステム、ビジネスモデルといった成果を「アジア低炭素化センター」を通じて、アジアをはじめとした海外に展開する。

 これらを、実際の生活や経済活動からデータを採りながら考えているのがスマートシティプロジェクトなのである。

<エネルギーはすべてエリアで生成>
 実証実験がなされているのは、北九州市八幡東区東田地区である。いのちの旅博物館などの大型の施設も含まれている実証エリアは120万m2。225世帯が実際に生活しており、50事業所が経済活動をしている。ソフト、ハードをさまざまに利用して、エネルギーのより効率的な活用法が考えられているのだ。

 そのため、実はこのエリアは基本的に九州電力から電気を買っていない(ただし、万が一の場合は九電からバックアップを受けられるようにはしてある)。エネルギーの自給自足から考えていっているのだ。系統自体が閉鎖されており、見た目には何らわからないが、そのエリアは孤島のように独立したエネルギーの循環がなされているのである。そもそも2003年の特区による規制緩和で特定供給地区として、このような体勢が敷かれ、その特徴を活かしてエネルギーの実証エリアとなった。もちろん、万が一に備えて、電源のバックアップが幾重にもなされているが、それでも「閉鎖空間での実証実験」といったイメージで電力の需給が検証されているのである。

 その心臓部になっているのが、天然ガスの東田コジェネだ。コジェネとは、発電の際に生まれる熱を廃棄することなく、上手に活用する2つの目的を持った発電発熱所のことだ。東田地区は新日鐵住金の八幡製鐵所に隣接しており、この東田コジェネも実はその工場敷地内に立地している。そこで生み出された熱は同工場内で活用し、電力は実証エリアで活用するという寸法だ。熱の需要が数多ある工場ならではのエネルギー有効活用法である。
 その東田コジェネが核となり、実証エリアは電気がまかなわれているのである。

(つづく)
【柳 茂嘉】

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