博多港が国際港湾協会(IAPH)の「港湾環境賞金賞」を受賞した。同港では、福岡市、博多港ふ頭(株)(本社:福岡市東区、江頭和彦社長)および国交省九州地方整備局が、世界最高水準のエコ・ターミナルの実現を目指し、貨物運搬などに使用する機器の技術開発実験を行なっている。その取り組みが評価され、今回の受賞にいたった。
表彰は、5月9日に米ロサンゼルスで開かれたIAPHの総会で行なわれた。今回、博多港が受賞した「港湾環境賞」は、2013年に創設され、そのほかの総会名を冠したオープン賞、情報技術賞、港湾通信賞においても、これまで日本の港が受賞したことはない。
IAPHは、1955年に設立された世界の港湾関係者が集まる唯一のNGO団体。本部事務局を東京におき、今年4月1日現在で、会員数は、世界80カ国、正会員182港、賛助会員143団体。総会は2年に1度行なわれており、その際、会員港のすぐれた活動について、表彰を行なっている。
博多港が評価された取り組みは、貨物運搬などに使用する機器の改良により、CO2削減、消費電力の削減を図ったというもの。2011年1月から実証実験がスタートした。具体的には、(1)ラバータイヤ式ガントリークレーン(RTG)をディーゼルエンジン発電機から陸上電源による駆動方式に改良。また、リチウムイオン電池搭載の完全電動タイプRTGの開発・導入(世界初)。(2)可動式屋根によるコンテナ表面温度上昇の抑制(冷却装置の消費電力削減)。(3)リチウムイオン蓄電池搭載のストラドルキャリア(荷役機器)の導入など。なお、ガントリークレーンには免震装置を取り付けられ、停電時も冷凍・冷蔵コンテナへ電力供給が継続できるよう、RTGやストラドルキャリアのディーゼルエンジン発電機から電力を供給できる仕組みを確立し、災害時に備えている。
省エネ効果としては、(1)CO2排出量74%削減(年間2,142トン)、エネルギーコスト68%削減。(3)従来型よりも約32%のCO2削減効果などが確認されている。なお、(2)は検証中。年間2,142トンのCO2量は、「約600ヘクタールの森林が1年間に吸収する量に相当している」という。
世界レベルでCO2排出量の削減が求められているなか、博多港は、世界に先駆けて港湾の省エネ化で成果を上げている。環境にやさしいエコ・ターミナルがあるまちとして、福岡市にも注目が集まることに期待ができそうだ。
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