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観光誘客、訪日2,000万人は可能か(2)
経済
2013年5月31日 07:00

<果たして先手を打てるのか!?>
 現在、観光庁では、訪日客数が多いタイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、インドネシア、フィリピンの6カ国に対して、重点的に旅行博の開催などをプロモーションし行なっている。いわば、相互交流が増えれば、手を打つというやり方。積極的に市場を開拓に打って出るやり方ではない。発展著しい東南アジア市場で、果たして先手を取れるのか。ミャンマー、カンボジア、ラオスなど次の市場を狙って、開拓に打って出ることも重要だろう。

raos_a_1.jpg 富裕層が増えるラオスでは、このところ、海外旅行への需要が急激に上がっている。ラオスのビエンチャンで旅行会社を経営するサンティファップトラベルのアムノン社長は、観光庁の国際交流推進課外客誘致室の石川久美子係長に、「7カ国目として、ラオスを加えてはどうか?」という進言をしにいった。観光庁は、ラオスで富裕層が増え、海外に旅行したいと思っている潜在需要が急拡大しているという情報は、まだつかんでいなかった様子。石川係長は、「アセアン10カ国で、観光に関する政策対話を行なっている。その中にラオスも入っていますが、日本への観光客が増えてきたら重点的に旅行博を国ごとに開催する形を取っていますので、アセアンマートには、まだラオスは入っていません」と、今は、相互に観光客の行き来の多いタイ、シンガポールなどに重きを置いている。

<富裕層増えるラオスもターゲットになりうる>
 アムノン氏は、今後、ラオスからの観光客が急増することを予測。「ラオスの物価は、以前に比べると、20~30%アップした。今は、円安になっているので、以前ほどに、日本への旅行が割高だとは感じないはず。プロモーションに力を入れれば、ラオスから日本への旅行者は、たくさん増えると思います」と説明。買い物に関しても、ワイシャツなどの服や、関税がかけられる電気製品は、むしろ、日本で買う方が安いのだという。「ラオスだと、日本製のように質のいいワイシャツを買おうと思えば、3,000円ぐらいします。日本では、格安の店が多く、ラオスよりも安く売っています。ラオスの富裕層を日本に連れてくれば、驚くほどお金を使いますよ」と、人口の少ないラオスは、東南アジアの中で軽視されがちだが、十分ターゲットとなりうる。現状の倍以上もある目標の訪日2,000万人を達成するには、積極的に市場開拓に打って出ることが必須だろう。果たして、来年のアセアンマートには、ラオス、ミャンマーなど新興国の名前が入るのかどうか。

 観光庁の石川係長は、「今年、東南アジアからの訪客をまず100万人にして、全体で1,000万人の達成を目指す。ビザの緩和に向けて動いていきます。ラオスとも相互交流が深まれば」と語った。今夏までに東南アジア諸国からのビザ発給要件を緩和する見込み。2,000万人達成時期を5年後に見定め、観光庁に観光戦略課(仮称)を新設し、各省庁とも連携し、オールジャパン態勢を築いていく予定だ。

(つづく)
【岩下 昌弘】

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