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ラオスビジネス最前線(前)
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2013年6月 1日 07:00
赤坂綜合事務所・東南アジア総本部 ラオス代表 飯田 国大 氏

 ミャンマーやカンボジアと同様に、現在、ラオスはフロンティア状態にある。さまざまな分野のビジネスが未発達のラオスで、ビジネスの奔流に堂々と挑む日本人がいる。赤坂綜合事務所東南アジア総本部の飯田国大氏がラオスに乗り込んだのは、1年半前。この短期間で、日系企業と合弁を組むKPグループとネットワークを築き、コーヒー、食品で成長したダオファングループとすでに提携を始めている。ラオスのビジネス最前線を駆ける、飯田国大氏に聞いた。

<中期的に農業>
 本州ほどの広さに、人口は約650万人。ラオスの農村に行くと、農閑期には農地が余っており、何もつくられていないという。世界には農地が足りなくてあえぐ国が多いなか、ラオスにはそれがふんだんにある。肥料を使わない天然のままの農業は、この国の武器になり得る。

raos_01.jpg 「何がラオスのためになるかと考えたとき、長所を伸ばす方が良いと思った」と飯田氏。ラオスの利点である農業にビジネスチャンスがあると見た飯田氏は、ラオスの農家とともに小豆を栽培し、日本など海外に出荷する小豆プロジェクトをスタート。ラオスを北から南へ農村を見て歩き、どこで何がつくりやすいか、どこの農民がどのような性格か、といったようなことを、失敗もして、肌でつかんできた。作付け試験を行ない、4,900haの農地(農家)と契約して、現在は400haで生産を始めている。

 トラクターを購入して種植えを開始し、ラオス産の小豆1コンテナの生産、収穫に成功。日本へ輸出した。肥沃な農地でつくる小豆は、粒がきれいで、おいしいと評判は高かった。日本、中国などから買いたいとのオファーが入っているが、まだ生産が追い付いていない状況。契約した農家とともに増産していく。

<ラオス人においしい和牛を>
 ラオスの「農」を活かしたビジネスとして、ラオスでおいしい和牛を育てる高級和牛プロジェクトにも着手している。
 ラオスに牛は約400万頭とたくさんいるが、どれも農耕用であり、食用の牛は生産されていない。そのため、ラオスで食べられている牛肉はどれも硬く、日本ほどにおいしくない。食用として日本の牛と同様の飼料を与えて育て、「ラオス人の持っている牛の資産価値を上げていこう」というプロジェクトだ。

 ラオスでも経済発展にともない、都市部ではとくに富裕層の購買力が格段に上がっている。飯田氏は試験的に神戸牛を輸入して、ビエンチャンの高級レストランに卸した。レストランのオーナーと交渉し、メニューに195万キープ(およそ2万5,000円)で組み入れたところ、よく売れるという。
 「オーナーには最初、『うちのメニューで一番高いのは20万キープ(約2,500円)ぐらいの料理だ。高すぎて売れない』と断られたけど、粘り強く交渉してメニューに入れてもらった。今までのラオスの牛肉の100倍ぐらい高いけど、おいしいからよく売れる。ラオス人は、おいしいものを食べたがっている」と、飯田氏は言う。

 実は、ラオスの富裕層は付加価値の高い商品を探しているという。土地の売買や不動産事業などで利益を得た富裕層は、お金の使いどころがなく、高級車を買うぐらいしかない。そこに、日本と同様においしいステーキや焼き肉を持っていけば、日本と同等の値段か、それ以上でも売れるのだそうだ。
 「将来的にラオスでは、さらに富裕層、中間層は増えていきます。今、ラオスの牛を、おいしい肉牛に変えていこうと動き出しました。まず、神戸牛を輸入して販路をつくっておいて、タイミングが来れば、ラオス産のおいしい牛肉を入れます」と、飯田氏は販路を確保し、冷凍会社とも提携の準備を進めている。

(つづく)
【岩下 昌弘】

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