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ラオスビジネス最前線(後)
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2013年6月 2日 07:00
赤坂綜合事務所・東南アジア総本部 ラオス代表 飯田 国大 氏

 ミャンマーやカンボジアと同様に、現在、ラオスはフロンティア状態にある。さまざまな分野のビジネスが未発達のラオスで、ビジネスの奔流に堂々と挑む日本人がいる。赤坂綜合事務所東南アジア総本部の飯田国大氏がラオスに乗り込んだのは、1年半前。この短期間で、日系企業と合弁を組むKPグループとネットワークを築き、コーヒー、食品で成長したダオファングループとすでに提携を始めている。ラオスのビジネス最前線を駆ける、飯田国大氏に聞いた。

<水力発電開発に資金調達>
 長期的な視野で取り組んでいるのは、水力発電事業だ。水が豊富なラオスの水力発電は、まだまだキャパシティを持っており、現在開発されているのは、潜在的な全体のキャパシティのおよそ10%にすぎない。開発が順調に進めば、東南アジア全域に電力を供給することも可能だという。だが、現状では資金力が足りず、先進国からの投資を必要としている。

 赤坂綜合事務所は、ラオスの国営電力会社EDL-Genの社長から、日本での資金調達の窓口になってほしいとのレターをもらい、EDL-Genとジョイントベンチャーというかたちで連携して、水力発電の開発を進める。
 電源開発に関しては、中国やベトナムなどの企業が開発権を取得しているが、実際には権利を取るだけで、開発を開始していないところもいくつかある。ラオス政府は、開発がスタートしない箇所に関して、利権を取り上げ、電力会社であるEDL-Genが、再度、開発を進めるようにとの指示を出している。

 「我々に投資してもらい、ラオスで一番の電力会社EDL-Genとジョイントベンチャーをやる」と、飯田氏はクリーンエネルギー開発にも意欲を燃やす。

<短期的にはケーキ販売>
raos_2.jpg 飯田氏がラオスに赴任する際、飯田氏の奥さんの知子さんは「何もしないより何かやった方がいい」と、パティシエの勉強をしてラオスに入った。
 ラオスには、おいしいスイーツが少なかった。そこで知子さんがケーキをつくり、それを販売している。クリスマスシーズンには、ラオスでは育たないイチゴをたくさん使ったクリスマスケーキが400USドルで8個売れたという。バースデーケーキも400USドルで売れる。買っていくのは外国人ではなく、すべてラオス人だ。ラオスには、富裕層であっても「本当においしいケーキ」を食べたことがない人が多い。

 現在、知子さんのケーキは「TOKYO CAKE」という名称で認知度も上がり、高くておいしいケーキというブランドを確立しつつあり、コンビニやカフェのチェーン店26店舗を展開している。飯田氏は、「今、この分野に敵がいないから、先行者利得がある。従業員も育ってきて、将来的には日本の山崎パンのようになるかも」と、にこやかに話す。

<ビジネスの奔流で勝負>
 「今、タイに入っていっても、相当な資金力がないと勝てません。ミャンマーは大手がすでに進出しています。ラオスなら、敵のいないところで勝負できます。ただ、その時間はあとわずかだと思います」と飯田氏は語る。

raos_1.jpg 日本の高度経済成長期には、イノベーションを起こす創業者たちが日本の経済を引っ張った。しかし、その次の世代に移ると、今度は守りに入る企業が多くなり、多くの成功した日本企業はリスクを取らなくなった。逆に、日本でベンチャースピリッツのある起業家が、新しいビジネスを興そうと思えば隙間を探すしかない。さらに、リスクを取ってでも、ビジネスの奔流で勝負したいと思う冒険者は、果敢に海外に打って出る。タイにはすでに大手企業が根付き始めており、フロンティアと呼ばれるミャンマー、カンボジアにも大手が続々と手を伸ばしている。

 飯田氏は、開拓の地にラオスを選んだ。「僕らは、現地で新規事業を起こしていく新しい世代。この国のためになる仕事は何かを考えたとき、中期的には農業、長期的に水力発電だという答えに行き着きました。ラオスのためにならないのであれば、自然の流れで淘汰され、僕らは日本に戻されるだけ。敵がいないからといって簡単にはいかないだろうけど、ビジネスの奔流で勝負したいと思います」と、農業と、EDL-Genとのジョイントベンチャーというかたちでのエネルギー事業に燃え、ラオスを駆け回る。

 激動のラオス、刮目して見るべし。2、3年後には、どう変わっているだろうか。

(了)
【岩下 昌弘】

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