5月29日、常石鉄工(株)(広島県福山市、財前正幸代表)は、アジア特殊製鋼(株)と寿工業(株)北九州製作所の工場設備一式を一括購入した。
買収側の常石鉄工(株)は、広島県を本拠とする造船事業会社・常石造船(株)(同所、川本隆夫代表)のグループ会社。持ち株会社である常石ホールディングス(同所、伏見泰治代表)を中心に、グループの連結売上高は3,000億円を超える。
対象となった北九州市若松区の不動産および工場設備一式は、2012年4月に破綻したアジア特殊製鋼とその親会社である寿工業が従来保有していたもの。北九州市の肝いりで開発された工業団地の一角にあるだけに、アジア特殊製鋼の破綻と寿工業の事実上の撤退により、その後の利用が行政の懸案事項ともなっていた。
常石鉄工によると、当面の間、同工場を大型製缶構造品や大型工作機械の製造加工場として用いるとのこと。アジア特殊製鋼が保有していた電炉についても、将来的には稼働を検討するという。
なお、アジア特殊製鋼については、突然の倒産と親会社・寿工業の対応に不満を抱いた元従業員らが労働組合を結成した経緯があり、倒産後1年以上を経た今でも、親会社をも相手取った労働争議が展開されている。
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