国内で中小企業向けにITを活用した効率的な経費削減や効果的な売上向上などのコンサルテーションやプロモーションを提供している（株）フォーバル（本社：東京都渋谷区）。同社は2009年に海外進出コンサルティング事業を立ち上げ、現在ASEAN４カ国５拠点に事業所を開設し、中小企業の海外進出をサポート。支援実績が評価され、長崎県から「東南アジアビジネスサポートデスク」の運営業務を受託している。本社東京ヘッドオフィス海外ディヴィジョン代表、有賀正宏氏に聞いた。
――海外での進出サポート体制を教えてください。
有賀正宏氏（以下、有賀） 進出前から進出後までワンストップでサービスを提供しています。具体的には、情報提供をはじめ、視察同行、事業開始前の予備調査を意味するフィージビリティスタディ（FS）支援、現地法人設立支援、人材採用支援など多岐に渡ります。海外進出には常に新しい情報が不可欠なので、国内拠点において海外進出セミナーを開催しています。12年度の実績では全74回。紙面やWebを活用し、セミナーに来場できない経営者へのフォローも行なっています。
特に力を入れているのはFS支援です。2000年以降、中小企業の海外進出数と撤退数を比較すると、実は撤退数が上回っているんです。その要因のひとつがFSの未実施によるものだとわかりました。では、なぜFSを行なわないのか。それはFSに莫大な費用がかかるからなんです。FSを行なわず、少ない情報と経営者の「勘ピューター」で、進出を決定し、「こんなはずじゃなかった」と撤退につながることが多いのです。そのため最近では公的機関が海外展開支援として、FS実施に関する助成制度をスタートしたので、その助成制度を紹介し、プロポーザルの作成も支援しております。この制度を活用し、中小企業でもしっかりFSをした上で海外展開の判断や準備が出来るようになってきました。
また国内外で人材採用をサポートしています。国内では、日本在住の外国人留学生を現地幹部クラスの人材として紹介し、海外では現地日本語学校や職業訓練校と連携し、優秀な人材を確保、顧客のニーズに合わせマッチングを行ないます。
さらにカンボジアやベトナムでは本業であるITサポートを展開しています。カンボジアにはまだ大手の進出が少なく、そのため中小企業の進出先として、注目が集まっています。チャンスはあるが、不安も残る。そんなカンボジアの２つの経済特区にはITサポート窓口を設置し、弊社エンジニアが常駐、製造業の生産管理には欠かせないITサポートを行なっています。
――ソフト面のサポートが充実していますが、ハード面はいかがでしょうか。
有賀 弊社はインドネシアとベトナムにおいて、地元ディベロッパーと協業し、日系中小企業向けのレンタル工場を運営しています。通常、製造業者が海外進出する際には、まず土地を購入し、そこに工場を建設するというのが一般的ですが、初期投資だけでも莫大な費用が必要になります。万が一、事業が振るわず撤退となれば、さらに損失は拡大してしまいます。そのため、これまでは上位層の中小企業でなければ出たくても出られなかったのです。そこで、日系中小企業向けに工場を「貸し出す」ことで、初期費用を低く抑えられ、万が一、撤退することになってもダメージを最小限にとどめることが可能になりました。建物などのハードを地元ディベロッパーが、事業支援などのソフトを弊社が行なうかたちで日系企業を迎えています。レンタル工場には規模288平方メートルから入居可能で、この広さなら従業員が10名からでも創業できます。このような小規模のレンタル工場は他に存在せず、まさに中小企業のためだといえるでしょう。
＜COMPANY INFORMATION＞
（株）フォーバル
代 表：大久保秀夫
設 立：1980年９月
所在地：（本社）東京都渋谷区神宮前5-52-2 青山オーバルビル14F
（九州支社）福岡市博多区店屋町8-30博多フコク生命ビル10F
資本金：41億5,000万円
ＵＲＬ：http://www.forval.co.jp/
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