7月の参院選で、安倍政権の高い支持率を背景に、議席数を伸ばすと見られている自民党。定数2の福岡選挙区では、そこに待ったをかけたい野党の間で生き残りをかけた戦いが激化しそうだ。従軍慰安婦をめぐる橋下発言問題で勢いをなくした日本維新の会に、選挙協力解消という三行半を突きつけたみんなの党は、同選挙区に独自の候補者を擁立する。
1日、同党県支部は記者会見を開き、全国比例で立候補予定であった元経営者で同支部役員の古賀輝生氏(49)を公認候補として党本部に推薦する旨を発表した。
同じく、参院選・福岡選挙区に立候補予定の前衆議院議員・野田国義氏(54)の陣営は、議席獲得において「敵は第3極」と明確に対決姿勢を打ち出した。その第3極の分裂に勢いづいたか、連日、同党の有名政治家が福岡の野田氏のもとに来援。1日は蓮舫参議院議員、2日は原口一博元総務相が駆けつけた。
自身の名前に引っ掛けた「歩くノダ、聞くノダ。くによしの60万歩」というキャッチフレーズを掲げ、福岡県内を歩いて回る野田氏。5月25日の時点で36万7,533歩と目標の半分以上を数えた。安倍政権の経済政策の副作用を「アベノリスク」とし、4期16年務めた八女市長としての経験から自民強権体制への警鐘を鳴らし、その歩みに力を込める。
福岡選挙区に参戦にすることになるみんなの党・古賀氏は、「みんなの党県支部全体の戦い」と強調する。同党県支部が設立されたのは今年3月1日。昨年末の衆院選・比例九州ブロックで初当選した佐藤正夫 衆議院議員が支部長に就任し、3人の地方議員が三役として脇を固める。県支部設立後、初の国政選挙でその結束力が問われるだろう。
佐藤氏は1日の記者会見で「(みんなの党は)政策を訴える党。維新だけが敵ではない」とコメント。古賀氏については、すでに全国比例の立候補予定者として福岡市を拠点に活動していたことから、「福岡市で票をとることができる」と判断したという。その古賀氏は、「20年近い中小企業経営の経験をもとに、九州産業の中心である福岡で新規開業率を高める環境整備をしたい」と熱意を語った。記者会見後に行なわれた古賀氏の街頭演説では、有権者から「維新とわかれて良かったね」と声をかけられる場面も見られた。
自民党に対抗し得る健全野党としての存在感を、各党が政策のかたちでどのように訴えるかが注目される。なお、参院選・福岡選挙区には、自民党現職の松山政司氏(54)、日本維新の会の元民放記者・吉田俊之氏(56)、共産党の前福岡県議・真島省三氏 (50)、政治団体・幸福実現党の元小学校教諭・吉冨和枝氏(54)も立候補を予定している。
▼参院選・福岡選挙区の立候補予定者公式サイト
・みんなの党 古賀 輝生 (こが てるお)氏
・民主党 野田 国義 (のだ くによし)氏
・共産党 真島 省三 (まじま しょうぞう)氏
・自民党 松山 政司 (まつやま まさじ)氏
・日本維新の会 吉田 俊之 (よしだ としゆき)氏
・幸福実現党 吉冨 和枝 (よしとみ かずえ)氏
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