5月24日に開かれた与党党首会談で、安倍晋三首相と山口那津男公明党代表は6月26日までの今国会の会期を延長しないことで合意した。これにより次期参議院議員通常選挙は7月4日公示、21日投票の日程で行なわれることになる。
自民党は昨年12月の衆院選で294議席を獲得した。連立を組む公明党の31議席を合わせると325議席を占め、総定数(480議席)の3分の2を超えている。内閣支持率は60%超と高く、民主党以下野党を大きく引き離している。「第三極」として持ち上げられた日本維新の会は、橋下徹共同代表の「慰安婦発言」などで支持率が急降下。渡辺喜美代表と江田憲司幹事長の関係がぎくしゃくしているみんなの党もぱっとしない。
よって、参院選ではまさに独り勝ちの様相を見せる自民党だが、実は内部には危機感を孕んでいる。
<大量の新人を抱え、党内引き締めが困難>
「我々は勝ったわけではない」。
石破茂幹事長は就任以来、ことあるごとに何度もこの言葉を口にした。
「我々が得た得票は40%だが、それで80%の議席数を得た。国民の80%が支持してくれたと勘違いしてはいけない」。
大量に誕生した新人議員を抱え、党内を引き締めるのに懸命だ。石破氏は年末年始には新人議員にスケジュール表を提出させ、地元活動にまい進するように厳しく指導した。単語カードに名前と写真を貼り付け、1人ひとりの名前を覚えていった。
それでも119人もいると、隅々まで目は届かない。正月に地元の活動をせず、北海道にある男性秘書の実家に遊びに行った女性議員がいた。安倍首相との懇親会で泥酔した様子の同僚議員の写真をフェイスブックにアップした議員もいた。
「我々には2009年の衆院選でボロ負けした経験があるが、今の新人議員は風が吹いた楽な選挙しか知らない。とくに落選経験のない新人のノー天気ぶりが自民党の足をひっぱるかもしれない。それがとても怖い」と、ある自民党のベテラン議員が、懸念を打ち明けた。内部から見るとさらに目に余るものがあるらしい。
新人議員の不祥事はすべて石破氏の責任になる。近時、「石破氏を更迭し、二階俊博氏を新幹事長に据える」という説が浮上しているが、こうしたことも一因だろう。
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