鳥取発の純日本製高級鞄の挑戦―。伊勢丹新宿店の"顔"とも言える1階の高級バッグ売場で、海外ラグジュアリーバッグのなかに、「BARCOS J LINE」が肩を並べている。鳥取に本社を構える(株)バルコスは、このラインで"ジャパンブランド"の確立を目指している。この取り組みについて、同社代表取締役の山本敬氏に話を聞いた。
――御社の取り組みについて教えてください。
山本敬氏(以下、山本) 弊社は1991年に鳥取で創業しまして、今年で21期目です。97年より、ドイツ国内で最も売れているバッグブランド「PICARD(以下、ピカード)」の総代理店を務めるようになり、百貨店を中心に販路を拡大してきました。
ドイツ人と日本人は、体格や色彩感覚がまるで違うことから、ドイツのものをそのまま販売していてもなかなか業績が伸びませんでした。そこで、ピカードの日本市場向けの商品開発を行なうようになり、そのほかに自社オリジナルブランドも出したり、幅広くバッグを手がけるようになりました。
現在では、「ICO JEENE(以下、イコジーニ)」、「Hanaa-fu(以下、ハナアフ)」など自社ブランドを複数展開しています。
――鳥取に本社を置くことのメリットとは、何でしょうか。
山本 販売の拠点は東京です。私自身は、週2、3日は東京に行きます。情報発信や営業、商談は東京で行ないます。ただ、本社は鳥取県倉吉市に置き、企画、流通、本社機能(総務、経理)を行ないます。
私自身は上京していましたが、出身地の鳥取に戻ってきて起業しました。商売と土地の関係は、その場所で生産する、流通させる、マーケットにする、この3つしかないと考えています。バッグはどうしてもかさばりますから、土地代が安い鳥取のような場所から全国に発送していくのは有利だと思っています。物流という点で日本全体を見たときに、中心となる本州にあるということはポイントです。
――1つのバッグができるまでの流れを教えてください。
山本 イタリアのフィレンツェに自社の拠点があります。そこからトレンドの情報を入手します。実際にイタリアから送られてくる情報というのは、色や素材感といったものなので、それを鳥取の本社の企画担当者たちが落とし込みをしてバッグをデザインします。
また、中国の広州に、サンプルのバッグを製造するためだけの自社工場を持っています。現在は、月500個のサンプルができるようになっています。中国でサンプルをつくり、自社ブランドなら修正を加えながら、OEMなど相手先がある場合だと、それを基に東京で商談し、その過程でサンプルを修正しながら、バッグをつくっていきます。
サンプルづくりにかかるコストは研究開発費のようなものです。サンプルを自社でクイックにつくりますから、現物がある商談は非常にスピードが速くなります。
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<COMPANY INFORMATION>
所在地:鳥取県倉吉市中江 48-1
設 立:1991年5月
資本金:9,300万円
売上高:(11/12)13億3,000万円
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