1974年の創業以来、明太子の知名度を押し上げ、全国へと営業拠点を構築していった(株)やまやコミュニケーションズ。84年からは海外進出を積極的に進め、韓国をはじめ、アメリカや中国にも関連会社を設立。今後は、経済成長著しいASEAN諸国への進出を計画中だ。生産拠点としてだけでなく、消費市場としても視野に入れる。ASEANで明太子をどのように展開していくのか、同社代表取締役社長の山本正秀氏に聞いた。
――当時からすると中国の人件費はどれほど高騰していますか?
山本正秀氏(以下、山本) 少なくとも2倍以上に上昇していると思います。中国の沿岸部では、従業員一人当たりの人件費は月額約400ドルかかります。ベトナムが約200ドル、カンボジア、ラオス、ミャンマーが約100ドル。単純計算でも、中国の人件費は新興国の4倍になります。この格差はさらに拡大していくと思っています。中国の生産年齢人口は減少していますが、ASEAN諸国は平均年齢が若く、労働力も豊富にあります。弊社での数百人規模の雇用なら、十分にカバーできる数字ですし、賃金上昇もある程度抑えられると思っています。
――では、本格進出をいつごろ予定していますか?
山本 これまでにミャンマー、ベトナム、タイ、そしてカンボジアを視察しましたが、今はまだ調査段階で、どの企業とビジネスを行なうのかもまだ白紙状態です。夏にはベトナムへ視察に行こうとも考えています。まだまだこれから調査は続きます。
――その他周辺国ではどうですか?
山本 ラオスはまだ行ったことがありませんが、電力事情はいいようですね。でも人口が600万人しかいないのと、海に接していないので物流に課題がありますね。
――カンボジアの魅力が大きいように思いますが。
山本 いや、そうでもないんです。カンボジアに進出する場合は、既存の工場を利用することができません。なにせ、工場そのものがないので、新設しないといけません。カンボジアのほうが土地の借地権などは安いのですが、電気代はカンボジアのほうが高い。カンボジアのシアヌークビルの近くに大型の火力発電所を建設中です。完成すれば、供給に問題はないと思いますが、結局コストがどのようになるかが決定要因になるでしょう。
ベトナムは水産加工場がすでにいくつかあるので、委託することで事業が始められます。その分、投資が少なく済むと思います。弊社の電気使用量と雇用人数などを具体的に計算してみないと結論は出ませんね。ベトナムに適当な工場が見つかれば、電気事情に不安はありませんので、もちろん有力な候補にはなります。
――ASEAN諸国の国民性についてはどのように感じられましたか。
山本 ASEAN諸国は親日国ばかりです。まったく心配していません。真面目で勤勉な人が多いです。政治体制を考えれば、カンボジアが最も安定しているでしょう。ベトナム、ラオスは共産主義。ミャンマーはようやく民主化が始まったばかりで、まだ軍事政権への不安が残ります。
<COMPANY INFORMATION>
(株) やまやコミュニケーションズ
代 表:山本 正秀
所在地:福岡市東区松島5-27-5
設 立:1976年10月
資本金:14億円
事業内容:明太子製造販売・水産物及び一般食品製造販売
TEL:092-611-4511
FAX:092-611-5050
URL:http://www.yamaya.com/
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