既報の通り、5月31日に東京地裁へ破産を申請した酒造メーカーの薩摩麦酒(株)(鹿児島県霧島市)と黄金酒造(株)(同)。1995年4月に設立された薩摩麦酒は、テーマパークとレストランで構成される「薩摩ビール園」を開園。テーマパークは、自社製造の酒類などを販売する物産店やハーブガーデンなどを擁し、レストランは地ビール製造工場に併設され開業していた。また、49年10月に前身の五領酒造(株)として設立された黄金酒造は、遠赤外線を利用した製法を開発し、「全芋焼酎 蘭」など自社ブランド焼酎を製造していた。
健康食品の製造などを手がけていた(株)健康医学社のグループ企業として展開されてきた2社は、なぜ破綻に至ったのだろうか。一番の要因は健康医学社の破綻だ。黒酢関連の健康食品を主力としていた同社は、温泉の使用権を債権化するなどの権利ビジネスを展開。配当が行なわれないなど顧客へ大きな被害を生みだしたことで、12年8月には債権者から東京地裁へ破産手続を申し立てられ、同10月には破産が決定。その後も、損害賠償訴訟や関係先への家宅捜索を受けるなど、グループ企業への信用も失墜していた。いずれも赤字決算を計上するなかで、事業の見直しによる醸造の停止や運営レストランの閉鎖を余儀なくされ、今回の措置となったようだ。
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