福岡市博多区のホテルで3日、食品輸出ビジネスの創出・拡大を目指す企業に向けた食品輸出セミナー「海外食品市場の今 香港、韓国、マレーシア」が開催された。
セミナーの第三部では、日本貿易振興機構(ジェトロ) クアラルンプール事務所・食品コーディネーターの宮川厚志氏が「マレーシアにおける日本食品市場の概況」をテーマに講演、マレーシアにおける日本食の進出について説明した。
2000年から2010年の10年間、マレーシアは大きな経済成長を遂げた。そして、首都のクアラルンプール、ジョホールやペナンといった、人口増加率が高い都心部のインフラ整備が進んでいるという。しかし、2012年度の1人あたりのGDPは約1万ドルと、韓国や中国のGDPにはいまだおよんでいない。その理由として、イスラム教であるマレー人・ブミプトラと、華人系マレー人などとの所得格差が激しいことが挙げられる。その一方で、マレーシアには多数の高・中所得者も存在している。
マレー人の1カ月間の消費支出は、1998年の1,631リンギットから、2009年の2,190リンギットへとかなり増加している。そして1,000万人以上のマレー人が日本食を好んで口にしているそうだ。また、日本からマレーシアへ向けた農水産関連の輸出額は、過去最高の8,486万米ドルまで伸びているという。実際に、宮川氏は週に2回、日本産の鮮魚・農作物をマレーシアに輸出しているという。
こうした状況から、宮川氏はさらなる日本食の定着が必要になると説いている。マレーシア市場では、寿司やラーメンなどの業務用日本食の重要は高く、デザートなどの専門店も少しずつ出店し始めている。そして、伊勢丹やイオンなど、現地にある高級スーパーマーケットにも日本食が並んでいる。さらに、コンビニエンスストアの外資参入がまもなく最大で30%解禁される可能性が大という。こうした状況から、日本企業の参入が期待されているのだという。
また、従来のマレーシアの料理は高カロリーなものが多く、成人の5人に1人が糖尿病予備軍だという。そのため、日本が得意とする健康食品の進出が求められているという。さらに、マレーシアには高級店がほとんどないため、中・高所得者の華人に向けたビジネスも期待できそうだという。さらなる人口増加・経済発展が見込まれるマレーシア。日本食の質と味だからこそ、ビジネスチャンスが広がっていると言える。
ジェトロ北九州では18日(火)に北九州市小倉北区の西日本総合展示場新館で、外国人留学生などの採用・活用を通じた企業の国際ビジネス展開を支援するイベント「九州グローバル人材交流フェア2013 in北九州」が開催される。会場では「グローバル人材の活用」「経営視点から見たグローバル人材の活用」などのセミナーも行なわれ、海外展開を考える企業に向けた、外国人顧客の取り込みやグローバル人材の採用などの対策について詳しく説明される予定だ。
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