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脱原発・新エネルギー

レンズ風車で発電~浮体式ならカンフル剤に(後)
脱原発・新エネルギー
2013年6月11日 07:00
九州大学応用力学研究所 烏谷 隆 准教授

 発電効率を高めれば、より低コストで、より大きな成果物=電力を得ることができる。風力発電をいかに高効率化するか。九州大学応用力学研究所が提案する答えの1つがレンズ風車である。風車の外周にラッパ状のリングを付ける。すると気流の乱れが起こり、風車に当たる風の量が増す。単純だが、付けるのと付けないのとでは、発電能力が2倍も違うという。

<設置費用の抑制が重要>
 レンズ風車によって風を効率的に集めて発電する。太陽光発電とは違い、風の状況が良い場所に設置しさえすれば、24時間いつでも発電することができる。再生可能エネルギーへのシフトということならば、大本命の1つと言えるだろう。

 ただし、ネックはコストだ。現在、3kWの出力の発電機を設置しようと思えば、発電機とプロペラ等の風車本体でだけで、kW当たり100万円程度。太陽光に比べれば、2倍以上高いイニシャルコストとなる。また、制度的な問題だが、風力発電による電力の買取価格は出力20kWを超えると23.1円/kWとなってしまう(20kW未満ならば57.75円/kW 。3月末現在、太陽光による発電は2013年度38円となる見込み)。イニシャルコストが高くて売電価格が低いとなると、普及は厳しくなるだろう。設置費用をいかに抑えるかが、事業化のカギだと思われる

renzufusya.jpg

<洋上浮体式エネルギーファーム>
 一方、九州大学ではこのレンズ風車を用いて、複合的発電ユニットの開発も進めている。広い敷地が確保できて遮蔽物が少ない洋上に、風力と太陽光を組み合わせた浮体式複合エネルギーファームである。現在、博多湾で実証実験が行なわれている。

 外径18mの六角形に組まれた骨組みを持つそのユニットは、3kWのレンズ風車2基と1.5kWの太陽光パネルの合計7.5kWの発電能力を有している。このユニットを蜂の巣のようにつないでいけば、いくらでも発電は増やすことができる。現実的な目標として、数MW級の発電能力をひとまず実現したいとしている。

 加えて、このエネルギーファームは、発電以外の目的も付加することができる特徴を持つ。たとえば、浮かんでいるエネルギーファームの下に網を張り、海洋牧場をつくったり、電気船の基地にしたり、資源探査基地にしたり、藻の生成を行なったりすることができる。系統連系(送電網につなぐこと)ができる距離ならば、どこの海に設置してもよい。活用方法も画一的に決める必要はない。ただ浮きが洋上に浮かび、主目的たる発電が可能になる。それ以外の活用法は、アイデア次第で応用の幅は無制限なのだ。

 これは民間の力で取り組むべきというよりも、たとえば漁業促進プログラムと併せて開発したり、レアアースの採掘基地を合わせてつくったりするなど、発電だけではない複合的なプロジェクトとして、国などが推進していくべきものと言えるだろう。

 「性能の良い風車と設置場所を吟味することで、風力を電力の柱に成長させることができます。私たちの使命は高効率の風車をつくりあげることです。マトリックスコンバーターを使用すれば、変換ロスを大幅に減らすことが可能です。そうやって、風の力を電力に変換していけば、日本の電力の柱として十分に魅力のある発電方法になり得ると思います」(烏谷准教授)。

(了)
【柳 茂嘉】

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