NPO法人日本マンガ・アニメトキワ荘フォーラム主催の第1回「トキワ荘フォーラム」が6月8日、東京都豊島区の雑司が谷地域文化創造館で開催され、約70人が参集した。「トキワ荘」は手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、水野英子など日本を代表するマンガ家が育った"マンガ家の聖地"である。「トキワ荘フォーラム」は、世界に誇る知的財産である「日本のマンガ・アニメ文化」を日本各地の自治体や世界に向けて発信していくことを目的としている。
<麻生太郎副総理から直々のメッセージが届く!>
同フォーラムに対する各方面からの期待は大きく、政界一のマンガ・アニメファンと言われる麻生太郎氏(元総理、現副総理・財務大臣兼金融担当大臣)からメッセージが寄せられ、水野英子氏、山内ジョージ氏(漫画家、動物文字絵作家でトキワ荘最後の住人)も飛び入り参加した。フォーラムは午後2時から開始され、司会進行を小室廣佐子氏(東京国際大学教授)が担当、前半は文化庁芸術文化課長である船橋徹氏が講演、後半は「トキワ荘」の語り部小出幹雄氏(トキワ荘通り"協働プロジェクト"事務局長)進行のもと、伝説の編集者丸山昭氏(元講談社「少女クラブ」編集長)を中心に水野氏、山内氏も参加して、「トキワ荘」にまつわる思い出話が語られた。
<普遍的な文化的広がりまでには至っていない!>
前半の船橋文化庁芸術文化課長の講演のタイトルは「日本のマンガ・アニメ文化と文化庁の取組」。船橋氏は文化庁として、メディア芸術(マンガ・アニメーション)振興の必要性を強く感じていると述べた。そのポイントは以下の通りである。
1.メディア芸術は広く国民に親しまれており、新たな芸術の創造や我が国の芸術全体の活性化を促進する。
2.海外から高く評価されている作品もあり、我が国への理解や関心を高める。
3.文化振興にとどまらず、コンテンツ産業、地域振興、国際文化交流にも資する。
しかし、現状では、「日本のマンガ・アニメ文化」は、普遍的な文化的広がりまでには至っておらず、また、産業としても学術研究領域としても新しい分野であるため、更なるノウハウの蓄積・共有や産学の一層の連携が望まれると述べている。
<メディア芸術振興 今年度の予算総額は11億円>
文化庁は、メディア芸術の一層の振興のため、優れた作品の顕彰や鑑賞機会の拡大、情報発信を行なう「創造・発信支援」と継続的な創造活動を支える基盤としての「人材育成支援」の2本の柱でメディア芸術の振興を考えている。このための平成25年度の予算額は11億200万円。内訳は、文化庁メディア芸術祭(今年で17回目、国立新美術館で来場者は、12日間で6万人を超える)等の事業、メディア芸術情報拠点推進事業、アニメーション映画製作支援で構成される「創造・発信支援」に8億3,500万円、メディア芸術クリエイター育成支援事業、若手アニメーター等人材育成事業、海外メディア芸術クリエイター等招聘事業で構成される「人材育成支援」に2億6,700万円となっている。
文化庁メディア芸術祭は、国立新美術館(六本木)だけでなく、「メディア芸術祭受賞作品」を中心に地方(山梨、神戸、釧路、愛知等)でも開催。文化庁では、地方で独自開催のフェスティバル(福岡インディペンデント映画祭、京都国際インディーズ映画祭、広島国際アニメーションフェスティバル、国際マンガサミット鳥取大会等)にも「優れたメディア芸術作品」を出品、鑑賞機会を提供している。
文化庁では、さらに海外の芸術祭(アヌシー国際アニメーション映画祭<仏国>、ソウル国際マンガアニメーション映画祭<韓国>、SIGGRAPH<米国>、アニマヘナション<フィリピン>等)にも「優れたメディア芸術作品」を積極的に出品、日本のメディア芸術の国際的な評価を高め、国内における創作活動の活性化を図るとしている。
メディア芸術を活用した地域の活性化も促進しており、マンガ・アニメ舞台の聖地巡礼と絡めた各地で行われる地域振興を支援している。平成25年度事業として、「地域共存型アニメ産業集積活性化計画(練馬区)、「マンガ・アニメを活用した街づくり構想」(新潟市)、「かごしまアートフェスタ」(鹿児島県)等が採択されている。今後は、(1)メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業(2)メディア芸術デジタルアーカイブ事業を進めていきたいとしている。
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