清々しい晴天の日でも、外出を控える気分にさせられた今春のPM2.5問題。季節が移り変わり、だんだんこの話題も影を潜めてきたが、上海市内では、「屋台の規制」という思わぬところに問題が飛び火してきている。
上海市環境保護部は今月初旬、市内のエネルギー、交通、産業、農業、建設、社会生活という6大分野において、大気汚染防止政策を強化する方針を掲げるとともに、郊外や居住地域付近での露天や屋台の調理行為を厳しく取り締まることを発表した。上海市内における大気汚染の原因の大部分は市内での活動と結論付け、市民の活動に一定程度の規制をかけることで、大気汚染を内側から改善していこうという策のようだ。
計画によると、油や煙の排出には規制をさらに厳格化し、家庭用の浄化型換気扇を導入するよう促したり、外での調理行為を厳しく取り締まったりすることなどが盛り込まれている。ちなみに、上海市内のPM2.5の汚染源としては、飲食産業が1割強を占めているとされている。
これまで、ことあるごとに政府が取り組んできた取り締まり強化策により、都心部でのPM2.5指数は徐々に改善してきているとされ、政府の発表では、人体に影響を及ぼす数値には至っていないとされている。一方で、環境汚染対策という名目で、すべての社会活動に規制がかけられるのは、政府の権力をさらに強め、役人による腐敗政治がはびこる原因となるという見解もある。
庶民の胃袋を支えている露天や屋台は、このまま政府の規制のもとで、どうなっていくのだろうか。
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