福岡市に１軒の衣類リサイクルショップ「ゆう*あい藤崎店」がオープンした。５月13日より福岡市早良区のグリーンコープ藤崎店隣で営業を開始。同店は社会福祉法人グリーンコープが運営しているが、単なるリサイクルショップではない。タンスに眠っている衣類などで国境を越えた子育て支援を行なっている。

　リサイクルショップ「ゆう*あい藤崎店」を運営する田原幸子店長に話を聞いた。

　――福岡での支援体制ができるまでを教えてください。

　田原幸子店長（以下、田原）　当初は福岡に集まった衣類を日本ファイバーリサイクル連帯協議会事務局のある千葉に送っていました。送料は個人が負担していました。毎回、高い送料を払っていてはこの取り組みは継続できないと感じていました。また、千葉からパキスタンへ送られると聞きましたが、支援している実感があまり沸きませんでした。そこで九州からパキスタンへ直接送るため、福岡に荷物を集積できる場所を作ろうということで、多の津物流センターを利用し始めました。

　――自立支援について、どのような成果がありましたか。

　田原　職業訓練の場として、作業に加わった方に話を聞いたことがあります。「それまで自分は支えられる側の人間だったが、この事業を通じて、パキスタンの子どもを支える側に立つことができた」と。地域社会へ復帰された方もいます。

　――これまでの衣類の送り出し実績は？

　田原　10年秋からスタートした同事業では、順調に衣類が集まり、12年３月に初めてパキスタンへ届けられました。その後も、12年６月と12月。そして13年５月とこれまで4回送り出しています。一度に送る衣類の重量は約20トンなので、これまで約80トンをパキスタンへ送りました。３，４カ月に一度のペースで送りたいと考えていますので、次は9月を目標にしています。

　――現地パキスタンを視察したそうですね。

　田原　はい。パキスタンのカラチ市内のスラム地区にある学校が「アル・カイールアカデミー」です。スラムの子どもたちのために無料で受け入れています。現在、通う子どもは分校も含めて約3,000人。この地域の子どもは親の仕事の手伝い、育児、水汲みなどの家事労働に追われ、学ぶ機会も時間もありませんでした。さらに保護者は子どもが学校で学ぶことに賛同しないケースが多いと聞きました。わざわざ学費を出してまで教育を受けさせることはないと考えているそうです。そんななかでも、子どもたちに教育を受けさせたいと感じたムザヒル校長がスラムに学校を設立しました。教育を受け始めて、子どもたちが夢を持てるようになってきたそうです。未来予想さえできなかった子どもたちが自分の夢を持ち、「医者になりたい」「教師になりたい」と言えるようになったそうです。これだけでもずいぶん大きな変化だと感じました。

　――これからの取り組みについて。

　田原　衣類の提供は、ファイバーリサイクルセンターへ直接持ち込むか、宅配便を利用して送ってもらっています。グリーンコープの活動エリアにお住まいであれば、組合員でなくてもヤマト運輸の協力で600円の送料で自宅に集荷に来てもらうシステムも利用できます。多くの方にこの取り組みを知ってもらい、賛同していただき、より多くの衣類をパキスタンへ届けたいと思います。同時に、気軽によれる楽しいお店作りを心がけ、この取り組みに賛同していただく方を増やしていきたいと考えています。

　センターに届けられる衣類は１日平均約120キロ。多いように思うが、まだまだ足りないそうだ。次回９月の送り出しを予定しているが、このままでは間に合わない。現状、多くは組合員からの提供で一般からの提供は少ないという。個人ではまとまった量を集めにくいので、企業や団体に協力を求めたいところだ。

≪　（前）　｜　

　衣類の提供を希望する方は、ファイバーリサイクルセンターに持ち込むか、宅配業者に集荷を依頼することができます。詳細は下記まで。

＜衣類、ヤマト運輸の専用送り状に関するお問い合せ＞
■グリーンコープファイバーリサイクルセンター
所在地：〒813-0034　福岡市東区多の津1-17-2
ＴＥＬ：092-623-0294　火曜日～土曜日　午前９時～午後５時
（※ショップ営業時間　火曜日～土曜日　午前11時～午後５時）

＜衣類の購入について＞
■リサイクルショップ「ゆう*あい」香椎店
所在地：福岡市東区香椎駅前2-52-1　２F　
ＴＥＬ：080-1530-8955　営業時間　午前11時～午後６時　日曜日店休

■リサイクルショップ「ゆう*あい」藤崎店
所在地：福岡市早良区高取1-3-25
ＴＥＬ：092-845-3331　営業時間　午前10時～午後７時　日曜日店休

その他店舗情報は下記HPより
社会福祉法人グリーンコープ　ファイバーリサイクル事業部>>

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