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再出発した「まむしの湯」
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2013年6月19日 14:52

 背振山系の浮嶽の麓に位置する、福岡県糸島市二丈吉井の「まむしの湯」。『郷土史浮嶽の里』という書物によれば、名前の由来は平安時代初期にまでさかのぼる。弘法大師として有名な空海が、この地でまむしに咬まれ苦しんでいる人を助けるために、法力をもって薬水を湧出させて救った、という伝承が残されているという。

mamusinoyu.jpg 江戸時代を経て、現代もなお、地元の人たちのみならず県内外からも湯治場として永く愛されてきた。しかし、今年6月、長年使用していた「まむし温泉」という表記が景品表示法に反するとして、以後「温泉」という言葉を使用できないとする措置命令を消費者庁より受けた。この一件について、運営会社(有)まむし温泉の高江忠史社長は、「今回お客様に誤解を与えるような状況となり、たいへん申し訳ありません」と非を認め謝罪したうえで、次のように経緯を語ってくれた。

 同施設の温泉は、消費者庁によれば「井戸水を加温したもの」と指摘されている。つまり、温泉法に定める必要な成分の一部(メタケイ酸、ナトリウムイオンなど)が不足していること、また泉温が21度(温泉法では25度以上)しかなかったことが措置命令の根拠となっている。

 一方、高江社長は「昔から『温泉』として親しまれていたことは、古い書物にも記録が残っています」とする。水質検査の結果も、温泉法に定める「温泉」に性質が非常に近かったという。そのうえで、「ヨーロッパ各国では20度以上で温泉と認められています。また、代々『温泉』という表記を使っていました。そのため、『温泉』でないとする根拠が私のなかで腑に落ちなかったのです」と弁明する。
 
 とはいえ、法による定義がある以上、それは遵守しなければならない。「その点に関しては深く反省し、以後は『まむしの湯』に統一表記することにしました。泉質に関しましては、いわゆる『温泉』と非常に近いので、これまで通りご愛顧いただければ幸いです」と、高江社長は再出発の決意を語った。

 景品表示に関しては、それぞれの考えから意見が食い違うことも多い。代々受け継いできた表示が、いつの間にか現代の法にそぐわなくなっていたという状況もあるだろう。それでも、順法の精神は商売をするうえで必須である。

【大根田 康介】


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