エネルギーのあり方が問われている。これは同時に、日本の大きな枠組みの編成をも意味している。福岡県第5区選出の原田義昭衆議院議員(代議士)は、議員を志すまで資源エネルギー庁で辣腕をふるっていた。その後、個別ではなくエネルギーの大きな政策立案に関わるべく衆議院議員選挙に出馬、現在に至っている。太陽光をスムーズに普及させるための団体の理事長も務める原田代議士に、エネルギーのあり方、考え方をうかがった。
<ベストミックスを考えよ>
「3年間で電源のベストミックスを調べて、10年くらいスパンで政策を考えていかなくてはいけないと思います。それがないまま、この地震があったから原発はゼロにするだとか、全電源に占める原発の発電割合を何%にするだとか、そういったことを勝手に決めてしまうものだから、未来が読めないような状況になっているのでしょう。電力の安定供給、電気料金、環境問題。そういったさまざまな見地から議論をし、長期的にどうあるべきかという目標を定めて行動すべきなのです。発送電の分離も、それによるプラスとマイナスを考えて議論し、決めていかなくてはならないと思います。パニックではなく、きちっとしたデータに基づいて目標設定をなしていくべきです。必要ならば国民も負担しなくてはいけないコストが生まれることになるかもしれません。あるいは、今、不必要なコストまで負担させられているのならば、それは訂正しなくてはいけないものです。エネルギー戦略は、長期的に、国としてどちらの方がよいのか、という議論をし、その結果を踏まえて国民とともに歩んでいくべき問題だと思います」。
原田氏は、パニックのような政治はしてはいけない、と何度も繰り返した。混乱した状況を混乱した頭で考えてはいけない、ということなのだろう。具体的なデータがないならば、データを用意する。原田氏らのその実態的な取り組みには、頭が下がるばかりである。
太陽光、風力など、既存の技術に目が行きがちだが、この分野の研究は実に幅広く行なわれている。たとえば、本誌で今回紹介させていただいている海洋温度差発電や改良型風力発電であるレンズ風車もある。日本国内には有望な技術がたくさんあるのである。あとは、いかに舵をとるかが問題だ。政治的な判断と、国民的な理解がエネルギーと国のかたちの将来を決める。今、私たちはその分水嶺に立っていると言える。
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<プロフィール>
原田 義昭(はらだ・よしあき)
衆議院議員・原田義昭代議士。1944年10月1日生まれ。東京大学法学部卒業。新日本製鐵入社後、通産省に入省。その後政治の世界へと歩みを進めた。柔道6段。
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