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脱原発・新エネルギー

省エネルギーとエネルギーの効率化(中)
脱原発・新エネルギー
2013年6月19日 07:00

 2011年3月11日。原子力の安全神話が脆くも崩れ去ったあの日。日本は再度エネルギーに関する問題を突きつけられることとなった。原子力発電をすべて廃止してクリーンで安全なエネルギーを抽出すべしとの声が高まっているが、いわゆる再生可能エネルギーを一気に拡大するには、時間的、経済的、技術的な課題が横たわっている。それよりも、再生可能エネルギーの拡大と並行して、省エネルギーとエネルギー効率の向上を進めていくことが望ましいことは素人でもわかる。今回、省エネルギーとエネルギーの効率化にスポットを当てて検証してみる。

<省エネの代名詞、LED照明>
 LEDは省電力の発光ダイオードを活用しており、照明の媒体として幅広い分野で市民権を得ている。
 その特徴としては、(1)電力を効率良く光に変換することができ、低消費電力である。LEDの発光に必要な周辺回路などの部分の故障を考えても、数万時間の点灯が可能で長寿命である。(2)白熱電球や蛍光灯は発熱や破壊の心配があるため、小型化に限界があったがLEDはそれらの心配がほぼない。加えて、電子回路の基板上に電子部品として実装することができ、扱いやすい。(3)LED素子に使う物質を変えることにより、さまざまな色の光を出すことが可能になった。特に、青色発光ダイオードが開発された今では、光の三原色がそろい、原理的にはすべての色を出せる。(4)電圧が加えられてから発光するまでの時間が短い。(5)大量生産により安価である。蛍光灯における水銀のように、有害な物質を使わないため、環境負荷が低い。(6)昆虫などが寄り付きにくい―などがある。

 現在では家庭や工場や街頭など、幅広い分野で設置されている。新設の場合はすでにLEDが導入されているケースが多いとされるが、既存の照明を取り替えるためには専門の工事業者が必要なため、LED設置をめぐり競争も激しくなっている。
 業者に話を聞くと、「まだそれほどLEDが普及していないときは、それなりに工事単価も高かったのですが、今ではその半分にまで単価が落ちています。もちろん、その分工事件数が多くなっていますが...」とのこと。単価が落ちたとはいえ、今のところ、まだLEDへの切り替え特需の恩恵を受けているようだ。ただ、この工事業者によると、粗悪な製品も出回っており、公称されている直下照度などがあまりにも低いケースも見られるという。いうなれば、「安かろう、悪かろう」の製品が出回り出してきたということだ。消費者目線から見れば、せっかくの省エネ製品なので、納得のいくものをつくってもらいたい。

0618_LED.jpg なお、この業者はさまざまなメーカーのLEDを取り扱っているが、おすすめはサムスン製で、国内メーカーと比べて性能面も何ら遜色がなく、やや安価であることからだそうだ。
 では、このサムソン製LEDで、工場やオフィスなどで使われる直管蛍光灯を例に取る。まず、外観は従来の40W蛍光灯(1,200mm)とほとんど変わらない。大きな特徴は裏側に基板を小さく配置したことで、管の4分の3で光を発することだ。また、直線的な光線を発するLEDの性質を考慮し、各々角度を有している。しかも電力消費量を40~75%削減でき、寿命は3倍となる4万時間である。照度も申し分ない明るさであり、管の取り替え作業もほとんどしなくていいことも魅力だ。

 1本の蛍光管自身の消費電力でこれだけの「省エネ」が図られるとなれば、光量を落とさず、電力量の削減につながる。しかも、工場や倉庫、オフィスなど既存の蛍光灯や水銀燈から交換を果たせば、ランプ交換の手間も省けて作業効率は上昇する。チマチマと照明を消すことももちろんエコなのだが、いかに今の環境を維持して省エネにつなげるかということが大切であろう。

<エネルギー効率の飽くなき追求>
 日本は、世界有数のエネルギー消費国だ。しかし、資源に乏しくエネルギーの大半を輸入に頼っており、自給率は20%程度。1973年のオイルショックを契機に脱石油を図り、原子力推進を取り組んできた。

  "絶対安全"とされてきた原子力だが、東日本大震災をきっかけとして、"人類が制御できない大変なモノ"ということが露呈してしまった。その後、日本全国で電力不足が謳われ、各地区で計画停電が練られたことは記憶に新しい。オイルショック時のトイレットパーパー騒動よろしく、今回は電池や懐中電灯、ランタン、携帯ラジオなど、非常時の用品が店頭から消えたのだ。
 だが、多くの地域で計画停電は行なわれなかった。電力不足を乗り切ったのだ。原発に依存していた電気エネルギーを国民の知恵と行動で節約し、依存しないで電力不足を回避できたのだ。

 では、資源が乏しい日本のエネルギーをどう確保するのか。自然エネルギーの即時推進は。その件に関しては、他頁でさまざまな人々が提言を行なっているので省略する。
 今言えるのは、原発を即時に全廃しつつ、整備に時間がかかる自然エネルギーの普及を待たずにエネルギーを確保する方法があるということだ。

(つづく)
【道山 憲一】

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