<中国で生産開始>
塗るだけで外の気温と部屋の気温の温度差を保つことができ、夏はエアコンによる涼しさを外に逃さず、冬は暖房の効果を維持することができる。遮熱・断熱・保温の効果を持つ多機能塗料キルコート。屋根、壁に塗ることにより電気代、ガス代を大幅に抑えることができる。
北海道で冬に行なった実証実験では、ガス代を約50%削減することに成功した。日本ではすでに倉庫、体育館、宮城県の震災の仮設住宅など、さまざまな場面で活躍している。
製造する(株)ライツインターナショナルでは、この省エネ塗料キルコートの中国、東南アジアでの展開を狙って、中国の工場で生産を開始した。上海の工場で生産し、夏冬ともに効果のある省エネ素材として中国国内だけでなく、東南アジアでも展開していく。
上海近郊にあるメーカーと提携し、現地工場で生産した塗料の実証試験を行ない、国の認定した検査機関による検査を通過。この3月に「優等」の評価を得て、国家の定める規格に合格した。国家スタンダードへの道を歩み始めている。中国の工場で生産した製品も日光反射、断熱効果、耐候性などのデータを取り、物性試験、耐候性試験を繰り返し、品質的にはすでにハイスペックのものを製造できるようになっている。
東南アジアではタイ・バンコクに拠点を置き、販売ルートの拡大を目指す。アジアでの事業展開を手がけるライツインターナショナルの小黒康夫専務は、「日本でつくったものを持っていったのでは価格競争に勝てないので、中国で生産に入り、品質も確立している。東南アジアでは、タイからであれば、ミャンマー、マレーシアなどを見据えることができる。当面は、中国で生産して、東南アジアに持っていって販売するかたちになるでしょう」と、中国の工場で生産した製品の品質の高さと価格競争力にも自信をのぞかせた。
中国の北方では、主に寒冷地用の保温塗料。中国南方と東南アジアでは、主に夏用の気温の遮熱、断熱用塗料として売っていく。夏冬ともに使える強みを活かして、販売ルートを確立させ、アジアに省エネ塗料を根付かせる。
<省エネへの貢献>
中国では、大気汚染など環境の悪化が深刻な社会問題となっている。中国の環境問題における今後の課題は、省エネ、環境改善に関するあらゆる製品の技術力を高め、いかに効率よくエネルギーを使っていくかということ。日本の企業が培ってきた技術は、中国でも大いに必要とされている。技術力の高い日本の製品は確かに売れるが、きっちりと省エネ、環境改善に貢献することも求められる。
両国間には尖閣諸島の問題などがあり、政治的には関係悪化が懸念されているが、経済的には密接なつながりを持っており、とくに環境の分野では、その製品、技術において相互連携がさらに必要になってくる。
中国には、キルコートのような塗料が省エネにつながるという概念がこれまではなかった。小黒専務は「チャイナリスクはたしかにありますが、日本の企業、日本の技術であるというのを前面には出さずに慎重にやっていく。現地の省エネ政策にも協力したい」と話した。キルコートは果たして中国の環境政策に貢献できるであろうか。
<COMPANY INFORMATION>
■(株)ライツインターナショナル
代 表:坂野 忠司
所在地:東京都中央区八丁堀2-2-8
設 立:2006年6月
資本金: 1,500万円
URL: http://www.kirucoat.net/
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