自民党の高市早苗政調会長・衆院議員が原発再稼働をめぐって「福島原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」と発言した問題で、福島原発被害者らから抗議の声が相次いでいる。実際に死者が出ており、遺族らの感情を逆なでするものであり、与野党から批判を受けた高市議員は発言をすでに撤回したが、「誤解を招いた」で済む問題ではなく、被害者らの憤りはおさまらない。
高市議員の発言は、福島原発事故によって自殺した遺族に対し東京電力が責任を認め和解を受け入れたことが全国的に報道された直後だ。また、原発事故による避難生活の途中で亡くなった人など関連死者は約1,400人と言われている。
自殺した遺族の代理人を務めた弁護団は19日、抗議声明を発表し、謝罪を求めるとともに、高市議員の認識をただす要請書を送った。抗議・要請したのは、「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発事故被害弁護団。
同弁護団は、「貴職の発言は、まったく事実に反するもの」「いまも被害に苦しむ福島県およびその周辺の被害者の感情を配慮しない不適切なもの」として、断固抗議し、すべての被害者に対して心から謝罪し、議員辞職することを求める声明を発表した。
要請では、福島第一原発事故によって自死した農家がいて東京電力が自死について責任を認めたことや、避難する最中に死亡した人たちがいたことの認識を問い、発言を撤回した理由を質問。また、福島第一原発事故によって自死した農家の遺族に面会を求めて謝罪する考えはないか問いただしている。
要請では、6月21日までに書面による回答を求めている。
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