中国経済新聞は、2001年に創刊された、日本初の本格的な中国経済情報専門紙。今回は6月15日(土)発行の第224号から注目ニュースを抜粋。巨大な市場を誇る中国・健食業界に生じた大混乱の背景と、今後の課題を紹介する。
コラーゲンは効果無し?~健康食品業界に信頼の危機
中国新浪微博(ミニブログ)でこのほど、有名医師が「コラーゲンの健康食品は全て詐欺」とするつぶやきを投稿し、たちまち話題となった。その後、栄養学者や皮膚の専門家もこの議論に加わり、コラーゲン製品の悪口を書き連ねた。一方、コラーゲン製品を生産するメーカーは、コラーゲンの「危険性」について否定している。
専門家とメーカーの意見が食い違い、消費者はどうしたらいいか分からない状態だ。「美容」、「アンチエイジング」の効果を求めてコラーゲン製品を服用した事のある消費者の多くは、その安全性に懸念を示す。かつては急速な成長を見せたコラーゲン健康食品市場は今、未曾有の危機にさらされている。
今回の件で「コラーゲン神話」が崩壊したかどうかはさておき、健康食品市場が玉石混淆の混乱に陥っているのは争えない事実だ。「三株口服液」や「紅桃K」など、多くの健康食品企業はあの手この手の広告で消費者の目をひきつけ、一時は「神話」を作り出した。しかしその後、これらの企業の製品はいずれも誇大広告で、効果も無いことが明らかとなり、神話は崩れ去った。
一部の企業の健康食品は見せかけだけで、他の製品のロット番号を流用する、さらにはロット番号自体を捏造するといったケースも見られている。このような行為は健康食品市場の発展を危険にさらす「癌」であるばかりか、消費者の安全にも大きなリスクをもたらす。
こうした混乱の背後には、巨大な市場から利益を得ようとする企業間の競争がある。健康に対する意識が高まるにつれ、健康食品市場もここ数年で急成長している。あるデータによると、中国の健康食品産業規模はすでに2,600億元(約4兆円)を上回り、今後も年10%以上のペースで成長を続けると見られており、企業はこの巨大な「ケーキ」の分け前が欲しくてたまらない。これに加え、健康食品は種類が多く、発展のスピードが速く、服用効果の判断基準が統一的でないため、監督管理が難しい。これは不法企業に違法生産・違法ラベル表示のチャンスを与え、一部の企業は法の穴をかいくぐろうと企んでいる。
健康食品市場の混乱した状況を根本的に改善するためには、政府の職能を十分に発揮し、監督管理不足を補うべきだ。「監督管理の強化」、「処罰の厳格化」という2つの制約があれば、企業の射幸心も薄れるだろう。
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