<使用済み核燃料の問題>
再稼働の動きが加速するなか、問題点は残されたままだ。国民的な場で議論を重ね、クリアするべき課題は、山ほどあるが、そこにはまだ手が付けられていない。
危うい面がちらほら垣間見える安倍政権のエネルギー政策の中で、もっと大きな問題は使用済み核燃料の問題だと飯田氏は言う。今、日本には約1万7,000トンの使用済み核燃料がある。この核のゴミをどうするのか。当面の置き場所も限界に近く、最終的な「捨て場所」の見通しも立っていない。しかも、福島第一原発4号機の水プールで貯蔵されていた使用済み核燃料が、一歩間違えれば「空だき・メルトダウン」した恐れがあったように、今の水プール貯蔵方式は、いったん事故になれば「むき出しの炉心」となる。再稼働する前に、もっと安全にきちんと貯蔵できる「乾式貯蔵キャスク方式」(後述)へと移し替える必要がある。
<国民的な合意が必要>
現在、青森県の六ヶ所村に、約3,000トンの使用済み核燃料が置かれている。しかし、最終的なゴミ捨て場はない状況。
"あとどれぐらい使用済み核燃料を出す余地があるのか"、"あとどれぐらいなら廃棄物を出しても可能なのか"、"これ以上は廃棄物を出してはいけない"といった国民的な議論を重ね、合意を取るべきではないか。「安全なのは、100年から300年置いておく場所として、今ある1万7,000トンを乾式キャスクに貯蔵する(窒素ガスとともに金属製のキャスクに入れて自然空冷で貯蔵する方法)。置き場所は、青森を含めて、国民的な議論を行わないといけないと思う。あと何トン、使用済み核燃料を出すのか。総量規制をかけないといけない。稼働させた時の安全性さえクリアすれば、再稼働させてもいいというのは、やり方が乱暴に思える」と飯田氏は、使用済み核燃料の貯蔵方法や保管場所などについて国民の合意を得る必要があることを指摘した。
6原発12基が再稼働の申請をする見込み。原子力規制委員の審査を経て、新基準の安全性をクリアすれば再稼働することになる。「安倍政権のもとでは、原子力規制委員会が許可を出したものについては、再稼働をしていくでしょう。規制委員会の審査に半年ほどかかるので、今年の年末から来年にかけてが、再稼働の攻防になる」と、飯田氏は予測する。残された時間は、多くはない。
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