<民主、維新の戦略ミス>
6月23日に行なわれた東京都議選は、自民党と公明党が全員当選し、過半数を大きく上回る82議席を獲得した。共産党が17議席を獲得して第3勢力になり、民主党は第4勢力にすべり落ちた。
「完全な戦略ミスだ」
ため息をついて民主党関係者はこう述べた。というのも得票率を見れば、自民党が36.04%、民主党が15.24%、公明党が14.10%、共産党が13.61%と、民主党が2位を占めているからだ。せっかくの得票をうまく議席に結びつけられなかったのだ。
原因のひとつは前回より10ポイントも下がった低投票率だ。これが組織票を持つ公明党と共産党の議席数を押し上げた。また見逃せないのが4年前の都議選で民主党が躍進したことだろう。苦戦が予想されるなか、民主党は複数の現職が議席を占める選挙区で候補を統一できなかった。例えば品川選挙区(定数4)は、現職の民主党議員が2名落選したが、彼らの得票を合計すると2万5,000を超えており、3位の公明党候補の獲得数を上回っている。
みんなの党が6.87%の得票で7議席を獲得したのに対し、日本維新の会は、8.25%も票を得ながら2議席に終わった。これは、維新が34名もの候補を擁立したためであり、「質より量」を狙った作戦の失敗だ。
さて、この都議選の結果が7月の参院選にどう影響するか。
敗北した民主党の海江田万里代表は、「さらにやるしかない」と辞任を否定した。同じく敗北した日本維新の会の共同代表である橋下徹氏と石原慎太郎氏も責任をとる様子はない。もっともこれまで地方選で敗北しても、「地方は地方」として党本部役員が責任をとらないことがほとんどだった。
ただ今回の都議選は、明らかに参院選と連動している。菅直人元首相のおひざ元である武蔵野市と小金井市で、現職が敗退した。応援に入った菅元首相の応援演説を聞く聴衆の数が極めて少なかったことから、元首相の「不人気」が都議選候補の足を引っ張ったと考えられる。参院選ではさらに多数の幹部たちが応援に入る予定だが、候補にとって応援に来てもらいたいが票は逃したくないという、痛し痒しの思いだろう。
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