福岡市議会第2委員会で紛糾した中央保育園移転計画。問題とされる移転候補地の選定理由について、相次ぐ市議からの指摘に、「総合的に判断」という説明が繰り返された。市議からも安全性の確保が困難といった見方も示され、ついには同局部長から、「すべての災害には対応できない。保育所が作れなくなる」といった暴言まで飛び出し、撤回が求められる事態となった。
火災や地震などの非常事態における避難経路について、現場の保育士からは「朝昼夜、移転候補地の周辺をずっと歩いて見て回ったが、1日を通して交通量は減らない」、「子どもたちがパニックになったら、避難することは非常に厳しい。かけがえのない命をとても守れない」といった声があがっている。市議からも、唯一のまともな避難経路である前面道路が、幅5.5mと狭く、一方通行で交通量も多いことから疑問の声が相次いだ。
これに対して市側は、「消防車は5~6分で到着。警察が5~6分で到着し、道路を封鎖する」、「避難に要する時間は200人規模で平均5分。2階建てで300人規模なら平均8分」などと答弁。驚くことに、これらは言わば『机上の空論』。シミュレーションをしたわけでもなく、保育園側とも「今後、ご相談があればいつでも受ける」とのこと。「総合的な判断」のなかで、園児の身の安全は二の次であることが露呈した。市議側は、「あなた方は火事の現場を知っているのか。煙の問題もある」、「(移転候補地の隣の)農民会館前は5.5mよりももっと幅が狭い」と指摘。周辺は道幅が狭い建物の密集地帯、また、人も交通量も多い商業地域のなかで、はたして、スムーズに消防車が駆けつけられるのだろうか。
ラブホテルやパチンコ店が周辺にあるという立地に関しても市議側は疑問を呈した。「風営法に則ってというが、どっちが後か先かは関係なく、結果として一緒(の状況)になる。良識を示すべき」「児童憲章『児童は、人として尊ばれる。児童は、社会の一員として重んぜられる。「児童は、よい環境のなかで育てられる』に従えば、保育士はこの移転計画に反対しなければならない」。
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