<廃炉への現実的プログラムを>
現在、資産として換算されている原発が廃炉になると、電力会社に入る利益は、その分、減ることになる。
飯田氏は、「現実的に廃炉にしていくためのプログラムを作らなければ、電力会社としても、廃炉に向かえない。そこは、国が配慮して法律を作っていかなければならない」と、電力会社の事情を鑑み、現実に立脚したプログラムを作るべきことを主張した。
<政治選択の難しさ>
安倍政権のもとでは、原発再稼働を強行する流れ。脱原発を実現したいと願う多数の国民にとっては、現在のところ、逆風が吹いている。
原発推進か、脱原発に向かうか。昨年末の衆院選では、エネルギー政策に関して、国民の原発に対する姿勢と、政治選択にズレが見られた。経済政策では、自民党を支持していても、エネルギー政策では原発推進を支持していないという国民は、少なくない。
脱原発を訴える市民による首相官邸前の金曜デモは、今も有志により続いており、6月2日に行なわれた脱原発のデモには、主催者発表で約6万人の市民が再稼働反対の声を上げた。衆院選時には、多くの国民が脱原発を実現してほしいとの意見を持っていたが、実際には、経済政策や国会での実行力を評価して、自民党の勝利となった。エネルギー政策に関して言えば、国民の脱原発を望む声と、票数にギャップが生じ、政治選択の難しさが結果に出た。
「自然エネルギーへのシフトをしてほしいと思っている国民がやれることは、声を上げ続けること、身近な政治家に働きかけるといったことに加えて、自らの地域でエネルギー選択への変化を起こすことです」と飯田氏は語った。
エネルギー政策がすべてではないものの、各政党の政策を慎重に見極めて、現行の選挙制度のもとで一票を選ぶしかない。7月に迫っている参院選、国民はどのような政治選択をするのか。
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