移転候補地の選定プロセス、安全性など、疑問だらけの中央保育園移転計画は、定員を300名に拡大する必要性についても疑問が投げかけられた。高島市長自ら「待機児童の解消」を錦の御旗のごとく掲げ、「ニーズ(保育需要)がある」と何度も主張しているが、その「ニーズ」とやらが曖昧という指摘である。
市議側があらためて問い質したところ、市側は、待機児童の数について、中央保育園が11人、周辺で51人、同保育園がある中央区全域で115人、市全域で695人であると説明した。今回の移転計画では、中央保育園の定員は135人増となるわけだが、中央区全域の「ニーズ」を上回る数である。
さらに、市側が、周辺95人と遠方83人で半々と説明していた在園児の通園状況も定義が曖昧。実のところ、中央区が約76%(135人)、同区外が約24%(43人)であり、保育士や実際にこどもを通園させている保護者らの「約8割が近隣」という主張と一致。中央保育園だけを大幅に定員拡大することに対して疑問が突きつけられた。
「すべてが『待機児童ゼロ』でやると本質を見失う」(市議側)。保育が一体、誰のためのものであるか、という最も考慮すべき点が、最もないがしろにされた移転計画と言っても過言ではないだろう。「基本的に愛情が足りないからこんな問題になっている。努力が足りない。安直にしすぎ。保育の責任はみんな市にある。非常に不真面目だ!」との市議の一喝が、こども未来局の職員にも堪えた様子。しかし、その言葉は、説明責任をはたさず、逃げ回っている本計画の責任者・高島宗一郎福岡市長にこそ突きつけなければならないだろう。
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